サ高住で検証、高齢者見守りサービスの効果は…

2015年12月18日日経デジタルヘルス

 ビズロボジャパンとセキュアは2015年11月25日から神奈川県相模原市のサービス付き高齢者向け住宅「ホッとライブ横山台」で、「高齢者見守りサービス」の実証実験を実施している。このサービスは、顔認証機能付きのカメラと各種センサーを使って高齢者の活動状況を検知し、何らかの問題が発生した可能性があるときに介護職員に通知するというもの。ビズロボジャパンの「見守りクラウドロボ」とセキュアの顔認証ソリューション「EUREKA」を組み合わせて実現する(関連記事「電源不要のセンサーを使った高齢者の遠隔見守りサービス」 )。

外出して1時間戻らなければ携帯電話で安否を確認

 ホッとライブ横山台では入居者の自由を尊重しており、入居者は自分で鍵を開けて自由に外出することができる。だがその分、入居者の安否確認は難しくなる。2005年4月の開設から10年ほどが経過して、最近では認知機能などに衰えが見られる入居者も出てきていた。

 本人に自覚症状がないため、頭ごなしに管理を強化するわけにもいかない。職員が気付けば必要に応じて声をかけたりできるが、忙しいときは見落とす可能性もある。そこで、今回の実験では「認知機能にやや問題を抱えた入居者」の部屋があるフロアのエレベーターホールにEUREKAの顔認識カメラを設置。その入居者がエレベーターホールを通って外出しようとしたら、事務室に設置したパソコンの管理ソフトに通知するようにした。

 例えば、ある入居者は手を付けていない食料品があるのに、施設の1階にあるスーパーマーケットで同じ食料品を繰り返し購入する癖があった。そこで見守りサービスの表示で外出しそうだと気付いたら、その前に「何かお買い物ですか? それは昨日お買いになってましたよ」と声をかけて注意を促すようにしているという。入居者が外出して1時間経っても戻ってこなければパソコンの管理画面にアラートを表示し、それを見た職員が携帯電話で安否を確認する。入居者によっては「週に2回のペースで安否確認の電話をかけている」(ホッとライブ横山台施設長の小森順子氏)という。

温湿度センサーで熱中症の危険を察知

 EUREKAの顔認識カメラには肉親の許諾を得たうえで、現在3人の入居者の顔を登録している。このうち特に衰えの大きい人については、居室内に人感センサーと温湿度センサーも設置する。部屋に滞在しているか、エアコンを切ったままにして熱中症や低体温症になる心配はないかを検知するためである。

 実証実験は2016年1月24日まで実施し、介護職員の体力的な負担やストレスの度合いを導入前後で比較・検証する。実験期間中はセンサーの種類やカメラの配置についても随時検証し、状況に応じて変更していくとしている。