IoT機器による「見守り」ますます拡大 サブスクも
2022年12月24日産経新聞
飛躍的な進化を続けているIoT(モノのインターネット)機器を活用した高齢者見守りサービスを提供する企業が増えている。家電や照明が長時間利用されないと家族に連絡が届く仕組みで、少子高齢化社会や新型コロナウイルス禍での新たな見守りの形として定着し始めた。専門家は「今後、さらに普及していく」と予測している。
三菱電機は20日、家電の使用状況を通じて高齢者の安否などが確認できる新サービス「MeAMOR(ミアモール)」を発表した。同社の家庭用エアコン、冷蔵庫、給湯機のIoT機能を搭載した一部機種を対象とし、月額1080円の定額課金(サブスクリプション)で来年2月から提供を開始する。
スマートフォンの専用アプリに各家電の使用状況や室温、いつ入浴したかなどの情報が表示され、独居高齢者を家族が遠隔地から見守ることができる。また、冷蔵庫のドアが1日開閉されないなどの異常を検知すると、アプリに通知する機能もある。
同社の担当者は「カメラと違ってプライバシーを侵害せずに見守ることができる。高齢者が自立して生活するサポートになれば」と期待する。
将来的に子育て世帯向けのサービスなども開始し、令和12年度にIoT家電による見守りサービス全体で売上高20億円を目指す。
ヤマト運輸(東京)は昨年2月からIoT電球を活用した見守りサービスを全国で提供している。洗面所やトイレなどの1日に複数回利用する場所に通信機能付きの電球を取り付けてもらい、長時間利用されないと家族にメールで通知する仕組み。全国に営業所がある強みを生かし、必要に応じて契約者宅を代理訪問して安否確認も行う。
日本郵便は、人工知能(AI)を使った米アマゾン・コムの音声アシスタント「アレクサ」搭載のスマートスピーカーによる高齢者の見守りサービスを、自治体向けに今年1月から提供している。これまでに10カ所以上の自治体が導入し、住民サービスとして活用している。
設定された時間になると「今日の調子はどうですか」などと音声で呼びかけ、利用者が回答すると家族に通知が届く。服薬の時間なども知らせてくれる。日本郵便は「高齢者を支える担い手不足や孤立化などの課題解決に貢献したい」としている。
第一生命経済研究所の柏村祐主席研究員は「新型コロナウイルス禍で直接会う機会が減ったこともあり、IoTによる見守りの需要が増えている」と指摘する。その上で「新たな付加価値として見守り機能を備えた家電やサービスはさらに普及していくだろう」としている。