Wi-Fiセンシングを使った見守りシステムの開発に着手
2022年12月21日Ledge.ai
セキュアリンク株式会社は2022年12月18日、実証実験の結果をもとに、システムの開発に着手すると発表した。これは有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・在宅介護会社・賃貸管理会社など向けに、2023年4月にβ版の完成を目標に、複数の入居者や施設を遠隔でモニタリングができるWi-Fiセンシングシステムである(仮称)Remote Patient Monitoring System(遠隔患者モニタリングシステム)のこと。ai6株式会社から技術提供を受け、2022年8月から大阪府豊中市の大規模有料老人ホームでWi-Fiと人工知能(AI)を組み合わせたWi-Fi センシングシステムで革新的な遠隔患者見守りシステムの実証実験をおこなっていたとのこと。
見守り対象の「動きや動きの量、胸の動きや呼吸数、睡眠の質や睡眠量」を検出・分析
今回の(仮称)Remote Patient Monitoring System(以下RPMS)は特別な専用回線や監視カメラなどを必要とせず、ウェアラブルデバイスのように身に付ける必要もなく、Wi-Fi センシング電波の反射を測定する機器を室内に設置するだけで、非常に高い精度で見守り対象の「動きや動きの量、胸の動きや呼吸数、睡眠の質や睡眠量」を検出・分析して管理者に通知できるシステムである。
電波の直接反射を利用するミリ波レーダーなどとは異なり、壁などの障害物を透過・反射しながら動いている人や物に反射する事によって生じるWi-Fi電波の波紋変化を読み取ることができる。この事業には、同社社長が経験した実母の孤独死から、同様の死をゼロにしたいという強い思いが込められているとのこと。
実証実験からのシステム開発の目的
- スタッフの利用者管理が合理化できるかを再検討・改善する。
- 利用者に価値ある体験を提供できるのかを再検討・改善する。
- 得られたデータと、目視記録との差を再検討・改善する。
- 得られたデータを、独自のAIが有効かを再検討・改善する。
- 同一部屋で複数設置で、電波障害が発生しないか再検討・改善する。
- 利用したからこそわかる、Wi-Fi センシングの新たな領域を検討する。
- 実用化への課題を発掘し再検討・改善する。
遠隔患者見守りシステム(仮称)RPMSの仕組み
(仮称)RPMSは、Origin(据え置き型の親機)、Sleep Bot(据え置き型の子機)、Motion Bot(据え置き型の子機)という3種類のデバイス組み合わせにより、利用者の動きを検出する。活動時、就寝時のWi-Fi電波の反射を検出し有意な動きが検出された場合、クラウドに送信するという仕組みだ。クラウドに送信されたデータは、AIやディープラーニングでアルゴリズム処理がおこなわれ、PCやスマートホンでモニタリングできるシステムとのこと。
監視カメラを使用しないため、利用者のプライバシーを確保しつつ、ウェアラブルデバイスのように装着の必要性がなく、行動や睡眠といったステータスを遠隔でモニタリングできるという。