順調に販売を伸ばす見守り・防犯カメラ、PCカメラ市場の5割を占めるまで成長

2022年12月18日BCN+R


 見守り・防犯カメラの販売が順調だ。この11月も販売台数前年比で153.0%、販売金額でも153.4%を記録。PCカメラに占める見守り・防犯カメラの販売台数構成比もほぼ5割に達した。全国の家電量販店やネットショップなど、約2300店舗の実売データを集計するBCNランキングで明らかになった。

 PCカメラは大きく分けて、USB経由でPCと接続しWeb会議などで活躍するWebカメラと、無線または有線のLANでネットワークに直接接続し映像を送り出す見守り・防犯カメラの2種類が存在する。

 コロナ禍でオンライン会議が急速に普及した結果、爆発的に売り上げを伸ばしたWebカメラだが、2021年春を境に需要が一巡。一定の販売台数は維持しながらも、足元では前年割れが続いている。

 一方、継続的に販売を伸ばしているのが見守り・防犯カメラだ。ペットや赤ちゃん、高齢者を離れたところから見守ったり、屋外の不審者を撮影したりといった用途で使われている。

 2020年11月でも販売台数は前年同月比で273.3%と売り上げを3倍近く伸ばしていた。さらに、コロナが落ちつきはじめてからも売り上げが前年を下回ることは2度しかなかった。この7月では206.1%と倍増、11月でも153.0%と、おおむね2桁増の売り上げを維持している。

 この影響で、PCカメラ全体の販売前年比もこの11月、106.9%と久々にプラスに転じた。PCカメラに占める、見守り・防犯カメラの販売台数構成比も、2020年からの2年間で21.3%から49.9%にまで拡大。Webカメラに匹敵する大きな市場に成長した。

 メーカー別の販売台数シェアでは、TP-Linkが安定的に8割前後を占め圧倒的な強さを維持している。この11月では、TP-Linkが86.3%だったのに対し、2位パナソニックは6.0%、同率3位のIOデータ機器とGoogleはそれぞれ1.4%だった。

 ネットワーク機器の専門メーカーTP-Linkの独壇場だ。強さの要因は価格の安さ。11月時点での見守り・防犯カメラ全体の平均単価(税抜き、以下同)は、5700円。一方TP-Linkの平均単価は3900円。2位パナソニックが1万7100円、3位のIOデータ機器が1万5700円、Googleが1万2300円と、2位、3位いずれも1万円を超えているのと比べれば、破格の安さ。こうした、低価格製品の販売が、市場拡大を後押ししている。Webカメラに比べ、見守り・防犯カメラは複数購入も期待できるため、この勢いはまだまだ継続しそうだ。