水道検針自動化へ着々 スマートメーター 山間部、豪雪時に効果 高齢者宅見守り期待
2022年09月04日読売新聞
水道使用量の検針を無線通信で行う「水道スマートメーター」の実証実験が、富山市や砺波市などで始まっている。検針員が山間部の集落まで足を運ぶ必要がなくなり、漏水もいち早く検知できる。検針員の高齢化も進む中、デジタル技術を活用した効率化を図っている。
◆富山市
富山市では8月、牛岳温泉スキー場の近くにある山田鎌倉地区14世帯でスマートメーターの実験を始めた。北陸電力送配電のシステムを使って毎日、各世帯の水道使用量を確認し、市上下水道局のサーバーに集約している。検針員も使用量をチェックし、スマートメーターから送られるデータと比較しているが、今のところ実験は順調に進んでいるという。
市によると、水道の検針員は高齢化が進んでいるだけでなく、なり手も不足している。豪雪時は検針ができなかったり、山道を長時間歩いてメーターを確認しなければならなかったりすることもあった。市上下水道局の担当者は「メーターの値段は高いが大量に導入できれば、検針員の人件費よりも安価になるのではないか」と見込んでいる。
北陸電力送配電のスマートメーターは、すでに石川県輪島市の1000世帯以上で導入されている。富山市は最先端の情報通信技術を活用したまちづくり「スマートシティー」の実現を目指しており、藤井裕久市長は「豪雪時の事故防止にもつながる。実証実験でよい結果が出れば、市内で普及させていきたい」と語った。
◆砺波市
砺波市でも8月17日、栴檀山、東山見両地区12世帯1施設にスマートメーターを導入し、ソフトバンクやKDDIの回線を用いた実証実験を始めた。市によると、検針員はシルバー人材センターに委託しており、積雪時の検針が課題になっていた。富山市と砺波市の実験は来年3月まで続けられ、今回の成果を踏まえて本格的な導入を検討する。
◆高岡市
また、高岡市では10月から山間部の約20世帯で実験を始める予定だ。複数の通信システムを試す予定で、市上下水道局総務課の亀岡勝彦課長は「一人暮らしの高齢者宅での使用量が“見える化”されると見守り効果も期待できる。幅広い活用ができるのではないか」と期待している。