ゴルフカート改造 自動運転車で高齢者の買い物など支援 和歌山
2022年08月01日毎日新聞
和歌山県太地町のまちなかで自動運転車を走らせる実証実験が、1日から始まる。路線バスなどが通れない、入りくんだ細い道の多い町では、高齢者らの買い物や通院の“足”の確保が課題だ。実験では、車両の内外にカメラを取り付け、乗降の際の安全確認をすると共に、利用者の意識調査をし、見守りサービスに活用できないかの検証もする。
実験期間は9月30日まで。太地漁港周辺の周回コース(3・2キロ)を走り、無料で住民が自由に利用できるようにする。車両は全長約3・15メートル、全幅約1・35メートルの5人乗り。ゴルフ場のカートを改造した。補助員兼運転手が運転席に乗る。定められた停留所への停止、加速減速や操舵(そうだ)は自動。停留所以外での乗り降りや緊急時は運転手が制御する。「自動運転レベル2」に相当する。速度は3・6~12キロ。
町は2021年度、内閣府が募集していた「未来技術社会実装事業」に計画を応募し、採択された。事業は自動運転やAI(人工知能)などの先端技術をまちづくりに生かすもので、町は電磁誘導線を地中に埋め込む工事をするなど、自動運転のための準備を進めてきた。関係者約30人が出席した7月29日の式典で、三軒一高町長は「長年の願いがかなう。将来的には町をまたいだ病院間で運行できるようにしたい」と式辞を述べた。
町では実験結果を踏まえ、早ければ11月から車両2台体制で本格運用したい考えだ。町総務課の和田正希主査は「巡回の対象地区は高齢化率が高く、バス停まで距離もある。外出しやすい環境をつくることで、高齢者の健康づくりにも役立つのでは」と期待している。