老親の見守り、警備会社という選択肢 スマートホーム化するのが便利

2022年02月10日zakzak


選択肢が広がる高齢者の見守り。さまざまなツールやサービスが登場しているが、異変を感知した〝その後〟をどうするのかという問題は残る。

「『床に倒れて動かない』など明らかな異変であれば、救急車の要請になるでしょうが、『様子がおかしい』『姿が見えない』などハッキリしないこともあります。そのたびに駆けつけていたら、こちらの身が持たないし、早々に駆け付けられる距離ではないこともあるはず。万が一のときにどうするかは、見守りとセットで考えておく必要があります」

こう解説するのは「実家スマートホーム化情報館」(https://joho.st/sh/)を運営する和田亜希子さんだ。和田さんはネットワークカメラやスマートディスプレーなどIoTを駆使して、築40年になる実家のスマートホーム化に取り組んでいる。

「実は、大手警備会社がやっている高齢者の見守りサービスの導入も検討しています。親の健康状態によっても必要性は変わると思いますが、必要に応じて駆け付けてくれるのは魅力です」

大手警備会社、ALSOK(綜合警備保障)が展開する「みまもりサポート」(月額1870円~、別途初期費用・工事費など)では緊急通報ボタンを押すと即座にガードマンが駆け付ける。事前に持病やかかりつけ病院を登録しておくと、救急隊員に伝えてくれる。また、温湿度センサー(見守り機器に搭載)による異常感知や高齢者の外出・帰宅を家族にメールで知らせる仕組みもある。

同じく大手警備会社であるセコムが展開する「親の見守りプラン」(月額4400円~、別途初期費用・工事費など)は防犯・火災監視・非常通報をベースとし、オプションで救急通報(ペンダントタイプ)、空間センサー、腕時計タイプや携帯電話タイプの見守り機器などを組み合わせる。契約前に防犯アドバイザーによるチェックとアドバイスが受けられるのも特徴だ。

こうした既存のサービスを利用する場合と、個々に関連機器を買い求め、自らセッティングする場合、どう使い分ければいいのだろうか。

「既存の見守りサービスを利用するメリットはなんといっても分かりやすさだと思います。パッケージ化されていて、機器の選択や設定で悩まなくてすむのも利点です。ただ、親の状況や暮らしぶりに合わせた見守り体制を整えるなら、やはり自分でスマートホーム化するのが便利。いったん仮設置をして、様子を見ながら場所を変えるなどDIY感覚でアレンジもしやすいです」

遠隔でカギを開け閉めできる「スマートロック」を導入すれば、いざというときの突入経路が確保できる。一方、ネットワークカメラなどの見守り機器を導入すれば、室内の状況がわかり、「どのような暮らしをしているか」「何で困っているか」も把握しやすくなる。

「課題やリスクは書き出して整理するのがおすすめです。ある程度書き出したら、原因や場所、時間帯などでまとめると、状況が整理しやすくなります。発生頻度や大事故につながるかという視点で優先順位をつけることも大切です」
やみくもに安心を求めるのではなく、現状を整理し、実現可能な対策を講じる。互いに無理をしないのも親、そして自分の老いと付き合う大原則と言えそうだ。