バイアーが日本法人 4Dセンサーで高齢者見守り市場開拓

2019年11月29日日刊工業新聞

 

 イスラエルのスタートアップ、バイアー・イメージング(バイアー、テルアビブ市)は2020年末までに日本法人を設立する。同社は電磁波を物体に当て、反射の変化を計測する4Dイメージセンサーが主力。日本では地盤の変動をミリメートル単位で把握して土砂災害の事前検知の需要が見込めるほか、暗闇でも人を検知できる点を生かし、介護施設向け高齢者見守り用途としても市場拡大の余地があると判断した。

バイアーのラビブ・メラメド最高経営責任者(CEO)が、28日の都内での同社事業説明会で明らかにした。

同社は音声や動画のデジタル信号処理が行えるデジタル・シグナル・プロセッサーを内蔵した独自のシステム・オン・チップ(SoC)を使い、4Dのレーダーイメージングシステムを提供している。すでに日本では東北地方でソフトバンクの基地局近くに同システムを設置し、地盤の変動を一定期間計測して土砂災害の兆候をつかむ実証実験を実施中。年末までに実験を終え、集めたデータを生かし、「来年以降、より多くの場所でサービスを提供したい」(メラメドCEO)という。具体的には「橋やトンネルなどの異常検知用途」(同)を想定している。

高齢者の見守り市場も開拓を進める。既存のセンサー技術は暗闇や雨天などでの人の検知は難しいが、同社技術は壁などの物体を透過して人を検知することが可能。例えば、介護施設では夜間に高齢者がベッドから転倒したことを検知し、介護士らの携帯端末などに異常を知らせることができる。またセンサーに設置したスピーカーを通じて転倒した高齢者と会話もできる。メラメドCEOは「介護施設の人手不足の解消にもつながる」とみている。

バイアー・イメージングは2011年創業。独自のセンサー技術が評価され、過去に日本円にして88億円の資金を調達。28日に新たに同約120億円の資金調達を発表した。従業員数は150人で、20年に倍増する計画という。