IoTで次世代サービス、東芝やソフトバンクなど100社連合 

2019年11月05日日経新聞

  
東芝やソフトバンクなどは5日、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用した次世代サービスを開発する企業連合を2020年春に立ち上げると発表した。様々なメーカーの家電やセンサー、スマートフォンのアプリを組み合わせ、宅配の事前通知サービスや高齢者の見守りシステムなどを1~2日で試作できるようにする。次世代通信規格「5G」で膨大なデータを使いやすくなるため、業種を超えて暮らしを変えるようなサービスを生み出す。

米調査会社IDCによると、18年のIoTの市場規模は6460億ドル(約70兆円)で22年には1兆ドルを超す。日立製作所や独シーメンスが工場の自動化などで独自のIoTシステムを販売し、データのやりとりの基盤となるプラットフォームが乱立している。複数の企業のシステムを横断する仕組みが求められている。

東芝は19年度中に一般社団法人「ifLink(イフリンク)オープンコミュニティ」を設立する。東芝が自社のIoTシステムを開放し、国内外の大企業やスタートアップ企業、大学、ギグワーカー(個人事業主)が商品開発などに柔軟に参画できるIoTのプラットフォームをつくる。KDDIや東京ガスなども参加の意向を示しており、20年春には100社体制でスタートする見通しだ。

IoTの企業連合が狙うのは、メーカーが異なる製品やサービスを自由に組み合わせて新たなサービスを開発するためのプラットフォームづくりだ。例えば、カーナビの位置情報とSNS(交流サイト)のアプリを連動させ、宅配会社の配達員が「配達先の200メートル以内に近づいたら、消費者に通知する」といったサービスを作ることもできる。「作品の前の重量センサーで人を感知したら音声案内が始まる美術館」といった機能も、機器のメーカーを問わずに組み合わせられる。

海外では米アマゾン・ドット・コムが、家電メーカーなどが自社製品に組み込むだけで同社の人工知能(AI)「アレクサ」と連動できる「コネクトキット」を展開している。アレクサで動かせる製品は8万5千品以上にのぼる。東芝やソフトバンクなどの企業連合は、IoTでアレクサのような役割を提供し、幅広いサービスを生み出す基盤にしたい考えだ。

センサーなどで通信さえできれば、東芝のIoTシステムを利用できるため、参加企業はシステムをゼロから作る必要がない。他社の製品と組み合わせた試作サービスを1~2日で作ることができ、商用化への開発期間も大幅に短縮できる。

参加企業・団体の会費は企業規模などに応じて年3万~360万円とし、システムの運営費に使う。東芝は参加企業の試作したIoTサービスが試作から実用化に移る段階で、システム運用・保守の需要を見込む。参加しやすくサービスの組み立てが容易なのが、この取り組みの特徴だ。

消費者向けのサイトも作る。参加企業の製品を一覧にして、プログラミングの知識がなくても組み合わせて利用できるようにする。企業が想定していなかった利用者の目線の用途も発掘できる。段差のあるエリアに設置した無線が車いすに乗った人のスマホと通信すると、迂回路を案内するなど障害者目線でのサービスの開発につなげる。

情報処理推進機構の「IT人材白書」によると、IT(情報技術)人材の不足を訴える企業は9割を超える。工場の自動化や販売店の在庫管理などIoTの用途は業種を問わず広がっているが、専門のIT人材が不足している。企業や消費者が手軽にIoTを取り扱える環境を整え、市場の普及を後押しする。