家電利用データを販売 シャープ、高齢者ら見守りに一役

2019年10月07日SankeiBiz

 
シャープは今月から、インターネットにつながる自社製家電の利用データを他社に販売する事業を始めた。まずはKDDIやセコムなどに提供、高齢者や子供の様子を確認する見守りサービスに役立ててもらう。2020年度にも連携する企業を50社程度に広げ、新たな収益源に育てることを目指す。

 シャープはAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせた「AIoT」を成長戦略の軸に据え、家電全般にネット接続できる機能を持たせてきた。ただ設定の煩わしさなどから使わない人が多く、便利さや必要性をいかに伝えるかが課題だった。

 今回の事業では、家電の利用者が同意した場合に限り、電源のオンとオフや冷蔵庫の開閉といったデータを販売する。子供が家に帰ったかどうかを家電の利用状況から推測したり、高齢者の安否を確認したりする材料として、日常生活の安心につなげてもらう。

 シャープは政府の補助を受け、来年1月13日までに対象家電を購入し、1カ月間ネットにつないで利用した人に5000円~1万5000円の商品券を配る。消費税の増税分を補い、販売数を拡大させたい考えだ。

 シャープの石田佳久副社長は6月の記者会見で「多くの情報を集めている(グーグルなど米巨大IT企業の)GAFAでも家電の利用データには接触できない。これを蓄積することで新たな価値を提供していきたい」と語り、データ戦略の重要性を強調していた。