福岡市、民間企業と連携強化 高齢者見守りでICT活用 自治会などの負担軽減図る

2019年09月17日産経新聞

 
 福岡市が、情報通信技術(ICT)を活用した高齢者の見守りサービスの実用化に向け、民間企業との連携を強めている。これまで単身世帯への声かけなどを担ってきた自治会など、地域社会も高齢化が進む。最新技術を取り入れ、負担軽減と、安全・安心の維持を目指す。

 市保健福祉局と、自治体向けの緊急通報サービスを手がける民間企業、福岡安全センター(福岡市)が共同で、先月、市内の単身高齢者向けの新たな見守りサービスの実証実験を始めた。市が選んだ単身高齢者20人の自宅の各部屋に、気温や湿度、人の動きなどを感知する簡易型センサーを設置し、異常がないか24時間体制でチェックする。

 センサーから送信されるデータは、同センターが九州各地の自治体から受託する緊急通報システム上で確認する。安否確認は同センターのコールセンターが行い、緊急時には提携するタクシー会社からヘルパー資格を持つ運転手を派遣する。

 平成27年の国勢調査では、市内の65歳以上の高齢者は31万2千人で、総人口(約150万)の2割を超えた。また、単身高齢者世帯も5万6千世帯で、総世帯数(約76万)の1割に迫っていた。

 高齢単身世帯数はその後も増加し、市では令和7(2025)年には平成27年比で1・4倍、令和22(2040)年には2・1倍になると推計する。市保健福祉局の担当者は「親族が市外に住んでいるケースも多く、見守りを担う地域の負担は増え続け、パンクしかねない」として対策を急いでいた。

 実験期間は1年で、サービスの本格実施に向け、見守り体制の検証や採算性の検討などを行う。

 高島宗一郎市長は「ICTを活用し、さまざまな市民に身近な、見守りサービスを作っていきたい」と語った。