米テラス、「非接触レーダー」で高齢者を見守り

2019年08月20日日経新聞

 
高齢者の健康状態などを非接触小型レーダーで見守る機器を開発する米国のスタートアップ、テラス・ユー・ケア(カリフォルニア州)は日本での実用化に向けた実証事業を進める。8月末まで神戸市の高齢者施設で国内4件目となる実証事業をしており、年内にさらに5~6カ所で取り組む。

室内のコンセントにティッシュ箱サイズの機器を取り付け、高齢者の心拍や呼吸、睡眠の状態や体の動きを把握する。体に接触しなくても小型のミリ波レーダーで電磁波の動きを察知し、人工知能(AI)で分析して心拍数などを把握できるという。さらに小型化した機器も開発中だ。

高齢者の見守りには様々な手法があるが、カメラを設置する場合は高齢者のプライバシーへ配慮が必要。ウエアラブル機器は着用を煩わしく感じる高齢者も多い。テラスのサービスは利用者の心理的・肉体的負担感を減らそうと開発した。データをクラウドに連携してAIで分析し、過去の状態から変化もわかる。

介護施設では入居者の睡眠や行動を把握できれば、より適したタイミングでのケアが可能になる。夜間の巡回や介助の負担軽減につながる。

テラスは米グーグル出身のターニャ・コーク最高経営責任者(CEO)が、スタンフォード大の同級生で現・最高技術責任者(CTO)のケビン・シュー氏と共同で2017年に設立した。「テクノロジーでより良い介護を実現したい」との思いが出発点にある。

コーク氏は「高齢化の危機に最初に直面している日本で事業を展開したい」と考え、実用化を目指す。日本市場でエバーノート事業の経験を持つフィル・リービン氏がCEOを務める米オールタートルズの支援を受けており、東京大学エッジキャピタルやNTTドコモ・ベンチャーズなど国内のベンチャーキャピタルも出資している。