「孤独死」同居でも増加 引きこもりや家族認知症で発見遅れ
2019年08月19日神戸新聞
同居の家族がいるにもかかわらず、家の中で死亡した後、すぐに発見されない「同居孤独死」が増えている。兵庫県監察医務室が担当する神戸市内の7区では検案の結果、死後24時間以上経過していた例が2004~18年の15年間で計152人に上り、18年は最多の19人だった。家族が認知症だったり、死亡者が引きこもりだったりするケースが目立つといい、専門家は「生前に孤立させない仕組みづくりが必要」と指摘する。
県監察医務室が、神戸市の北、西区を除く7区で見つかった遺体の検案結果と家族構成などを分析した。遺体の発見や通報までに24時間以上かかった場合を「同居孤独死」とし、旅行や仕事で家族が不在の事例は除外した。
18年までの15年間で、同居孤独死と判断したのは男性102人、女性50人。04~08年の5年間は43人だったが、14~18年は1・4倍の61人に増えた。61人のうち死後4日以内が約80%を占めたが、同5~7日は8人、15~30日も1人いた。
同居孤独死の原因は、同居人が認知症だった例が最も多く、04~08年は全体の26%。14年以降の5年間は38%を占めた。ほかに、死亡者が引きこもりなどのケースがあった。別居の親族や福祉関係者が発見する場合が多く、同居の夫らが死亡していた例も数件あったという。
県監察医務室によると、神戸市内の集合住宅では18年夏、認知症の女性を介護していた高齢の男性が室内で死亡しているのが見つかった。ベランダに洗濯物が干しっぱなしになっており、不審に思った近所の人が通報した。男性は病死で死後1週間ほど経過しており、ごみが散乱した室内で女性は暮らしていた。
18年はほかに、80代の男性が風呂で妻の介助中に心臓発作で死亡し、2日ほど後にヘルパーに発見された例もあった。
県監察医務室は「神戸市内の都市部では、同居孤独死が増加傾向となっていると言える。介護者が死亡した後、介護を受けている家族らが亡くなるケースが増えてくるようなら、対策が必要になる」としている。