NTTドコモと神戸市、高齢者見守りで実証実験を開始 神戸市内の老人ホームで

2019年07月29日神戸経済ニュース

 
 NTTドコモと神戸市は29日、高齢者の見守りサービスに関する新技術の実証実験を、神戸市中央区の老人ホームで開始した。高齢者の居室内にレーダーの役割を持つ小型の装置を設置(写真右上の箱型の器具)。介護施設の職員が、入居者の睡眠状態や活動状況をリアルタイムで把握する。入居者の行動を把握することで、夜間の巡回や起床介助を適切なタイミングで実施し、介護職員の負担軽減などにつなげる。

 70ギガ(ギガは10億)〜300ギガヘルツといった高周波の電波をセンサーから発信し、反射する電波の変化を捉えて微小な動きを検知する。自動運転車の技術を転用した。呼吸数、心拍数、日中の行動、睡眠状態の検知が可能だ。NTTドコモは子会社の投資会社を通じて、検知技術を持ち17年9月に営業を開始した米テラス・ユー・ケア(カリフォルニア州サンフランシスコ)に昨年11月に出資していた。

 NTTドコモと神戸市が3月に結んだ、「ICT(情報通信技術)を活用した安全安心なまちづくり」に関する連携協定の一環。従来は離れた場所から健康状態などを把握する場合はカメラを設置するケースが多く、プライバシー保護の観点から懸念が残っていた。ただ新たな検知技術によって、入居者に負担やストレスをかけることなく入居者らの状態を把握。緊急事態なども早期に感知できるようになる。

 老人ホームで実証に協力する入居者の居室5部屋に各1個ずつ検知装置を設置した。ひとまず実証期間は8月31日までを予定しており、老人ホーム職員の感想などをもとに機能を調整する予定だ。NTTドコモと神戸市は実用化までに複数回の実証実験が必要とみている。次回以降の実証実験では、ひとり暮らしの老人宅など、老人ホーム以外の場所でも行動状態の把握が可能かなどを確認したい考えだ。