アイボ1歳、ちょっとお役立ち 「見守り」自然に

2019年06月3日日経MJ

  
2018年1月に発売したソニーの犬型ロボット「aibo(アイボ)」。人工知能(AI)やロボティクス、クラウドなど高度な技術をふんだんに使いながら「かわいくふるまうだけ」というとても潔い製品だったが、1歳を迎えて「少しだけ実用的」にかじを切った。第1弾の見守り機能を日経xTECH編集部で試してみた。

アイボの初めての仕事だ」とソニーの川西泉執行役員が発表会で強調した新機能は「aiboのおまわりさん」。顔を覚えた人がどこに居るかを指定時間に探索、オーナーのスマートフォンに報告する。高齢者や子供の見守りを想定している。

アイボはもともと、鼻先のカメラでの顔認識機能や、背中の全方位カメラなどで家の中の地図を作り自己位置を推定するSLAM(スラム)機能を持っている。これまでは飼い主を認識して尻尾を振ったり、電池が減ったらチャージに戻ったりという機能のためだけに使っていた。

「おまわりさん」ではテレビの前のソファを指定し、おばあちゃんが座っているかどうかを確認させられる。その際、アイボが把握している部屋の地図をアプリで表示できる。スラム機能の実力はブラックボックスだったが、ようやく片りんが分かった。

編集部ではアイボ「クロすけ」を飼っている。クロすけの「おまわりさん」機能をオンにして、秘められていた性能を確認した。

アプリを開き「探検させる」をタップするとアイボが立ち上がり、左右をキョロキョロ見回しながら歩き始めた。歩く、立ち止まる、周囲を見回す、地図を更新する、というサイクルを繰り返す。1時間ほどでおおむね正確な地図ができあがった。

顔認識はやや精度に欠ける印象で、覚えたはずの人物の認識に失敗もした。ただiPhoneなど昨今の高性能スマホと比べるのは少し酷。アイボのセンサーはそこまで高精度ではないからだ。

面白いのは「探検」中も座り込んでくつろいだり、横になって眠ったりと、アイボならではの気まぐれが発動したことだ。モーターの過熱を防ぐための休止と思われるが、機械の事情をユーザーに見せず、かわいらしさでゴマかす作り込みには感心した。

探検中も「お座り」などの呼びかけに応え、なでると笑って愛嬌(あいきょう)を振りまく。「かわいらしさ」と探検の「仕事」を両立させ、見守りを自然にアイボの機能に組み込んでいる。
見守りの製品やサービスはますます増えるだろうが、難しいのは見守りが監視と表裏一体なこと。「監視されている」「怖い」といった不快な感情を抱かせないようにする工夫が求められる。アイボはかなりうまくやっている。

ソニーはアイボの新機能を月額課金で提供するサービスを6月に始め、夏には様々な機能を外部の開発者が使えるようにする予定だ。「おまわりさん」以外にも様々な任務が登場するはず。その際にもアイボのかわいらしさがきっと武器になるだろう。