老人ホーム孤独死 他施設「安否確認は最優先」疑問の声相次ぐ
2019年06月03日神戸新聞
兵庫県明石市の介護付き有料老人ホームで入居者の男性(91)が「孤独死」し、施設側が約2週間気付かなかった問題で、兵庫県内の他の有料老人ホームなどから施設の対応を疑問視する声が相次いでいる。
県によると、県内の介護付き有料老人ホームは141施設(2018年12月時点)。県の「設置運営指導指針」では、各施設に入居者のプライバシーなどに配慮した上で安否確認をするよう求めている。
宝塚市の介護付き有料老人ホーム「宝塚エデンの園」は、介護の必要がない「自立」が入居時の条件。介護サービスなどを受けない入居者の居室には、12時間トイレ付近を通らなければ事務所に通報するシステムを導入している。同ホームの中安章人園長(56)は「安否確認と緊急対応は最優先の仕事」と強調する。
要介護認定を受けた高齢者が暮らす介護付き有料老人ホーム「フォレスト垂水 壱番館」(神戸市垂水区)は入居者全員が食堂で食事をする。食事の時間に姿がなければスタッフが個室を訪問し、夜間も2~3時間おきに、個室に入って状態を確認する。
同ホーム運営会社の須加田智恵子総務部長(58)は「介護付き有料老人ホームは、入居者に安心して暮らしてもらう場所。定期的な安否確認が求められる」と指摘する。
全国有料老人ホーム協会(東京都)は「これほど長期間、孤独死が発見されない例は聞いたことがない。安否確認の方法や頻度は各施設に委ねられてきたが、入居の段階で安否確認の方法を説明し、納得してもらうことが必要」とする。