老人ホームで90代男性が孤独死 明石の施設2週間気付かず
2019年05月31日神戸新聞
24時間スタッフが常駐する兵庫県明石市の介護付き有料老人ホームで、入居者の90代男性が居室で「孤独死」していたことが30日、関係者への取材で分かった。男性は遺体で見つかる約2週間前に死亡していたとみられる。今月上旬に面会した家族に体調不良を訴えたため、家族がスタッフに見守りを求めていたが、施設側は部屋を訪れるなどの安否確認をしていなかった。高齢者施設での「孤独死」という異例の事態に、指導権限のある明石市は施設の対応に問題がなかったか調査を始めた。
同ホームや明石市などによると、5月22日午前9時ごろ、2階の居室で男性が倒れているのを職員が発見した。宿直の担当職員が「最近、(男性の姿を)見ていない」と話したため、ドアを開けて入ったという。医師の検案では今月10日ごろに亡くなったと推定され、死因は分からなかった。
同ホームは夜間も看護師やヘルパーが常駐する。介護保険サービスを提供しているが、男性は介護の必要のない「自立」でサービスを使っていなかった。施設のレストランで食事を取らずに自室で調理し、室内の清掃サービスも利用していなかったという。
今月4日に家族が面会した際、顔色が悪く、腰が痛いなどと訴えた。男性は日常的に「できることは自分でする」などと話していたが、家族はスタッフに「本人は嫌がると思うが、様子を見てほしい」と伝えたという。
しかし施設側は、数日後に男性を見掛けたという報告がスタッフからあったため、体調が回復したと判断し、その後、男性の部屋を訪れるなどの安否確認をしていなかった。
家族から連絡を受けた明石市は、家族や施設側から事情を聴き、今後、対応に問題がなかったか詳しく調べる方針。
同ホームには現在、100人近くが入居。このうち介護保険サービスを利用していない入居者は2割ほどという。同ホームの支配人は「男性は介護保険サービスや清掃サービスなどを利用しておらず、すぐに発見できなかった。反省しなければならず、申し訳ない。再発防止を徹底する」としている。