位置情報受信で見守りシステム 伊丹市とヤマト運輸実験

2019年03月19日神戸新聞

 
 兵庫県伊丹市などは18日、ヤマト運輸のドライバーが位置情報を受信するスマートフォンを持ち、集配車での移動中に、発信器を持つ子どもや高齢者の所在を把握する実証実験を始めた。同社の集配車43台が参加。市が契約する見守りシステムで運用し、登録する小学生や認知症がある高齢者のいる場所をより細かにキャッチし、家族に伝えて安心感につなげるのが狙い。

 同市は、位置情報の受信器を内蔵した防犯カメラ千台を市内の街頭に置き、小学生と高齢者を中心に約3千人が発信器を持ち歩いてシステムを利用する。登録する子どもやお年寄りが防犯カメラの近くを通ると、「いつどこを通過した」という位置情報が家族に送られる。

 しかし、固定された防犯カメラでの受信は路地などの細部には及びにくかった。そこで新たに、日常的に生活道路なども走行し、市街を移動する集配車で位置情報の受信を図る。ヤマト運輸の運転手が専用アプリを取り込んだスマホを携帯し、これまで検知できなかった場所で利用者の動きが分かる仕組みを目指す。

 実証実験は5月末まで。ヤマト運輸の車両のほか、市バス3台でも同じ機能を持つスマホを運転手が持つ。

 システムの運営会社「ミマモルメ」は走行中の通信精度やスマホの電池の消耗具合、利用者の満足度を調べる。

 同市は効果が確認されれば、学習塾やコンビニの従業員などにもアプリを使ってもらい、さらに細かな位置情報の把握も考える。

 実験に加わる伊丹市とヤマト運輸、ミマモルメの3者はこのほど、同市役所で協定を締結。ミマモルメの小坂光彦社長は「安定した受信環境を整えたい」と話し、藤原保幸市長は「見守りシステムは安心のための社会インフラになりつつあり、数が多いほど効果が高い」とした。