IoTは働き盛りや子育て世代の不安解消に期待--MMD研究所などが分析
2019年02月25日WirelessWireNews
IoT化が進展していく中で、「生活と時間」「育児」「健康と高齢」といったテーマに対してどのような期待や要望があるか。MMD研究所はセキュリティ大手のマカフィーとIoTに関するアンケート調査「日本におけるIoT意識調査」やインタビューを行い、その結果から導かれるIoTへの意識の現状分析をまとめた。
IoTで生活に取り入れたいことについての問で、30代~40代の働き盛りの回答者で最も多かった答えは「エアコンのON/OFFや消し忘れの通知」(48.8%)、次いで「家の内外の遠隔監視」「解錠・施錠、施錠状況の確認」が上位に並んだ。いずれも、「自宅」よりも「外出先」から行いたいとの回答が圧倒的で、両社では働き盛りの人々が「自宅を不在にしている「不安」の解消や限られた時間を効率化し、少しでも時間の有効活用を望んでいる」と分析する。
一方で、同じ問も、子どものあり/なしで見ると、違った見え方をしてくる。「家の内外の遠隔監視」や「お風呂の湯はり」などの家事に関連する項目では、子どもありの回答者の回答が、子どもなしの回答者を10ポイント以上、上回った。「洗濯の設定や洗剤の調整」も10ポイント近い開きがあり、家庭の心配を取り除く“コト”や時間を増やす“コト”の関心で子どものあり/なしの意識の違いが大きいことがわかる。
育児の側面では、子育て世代(30代~40代、小学生以下の子どもあり)の母親の回答を分析している。「IoTで育児や子育てに取り入れたいこと」として、IoTに求めている上位3回答は、「子どもの居場所確認」(63.8%)、「子供の病院の予約」(59.3%)、「預け先の様子の確認」(53.8%)だった。子どもの居場所の確認と、子どもの病院の予約は回答者の男女差が大きく、女性では8割近くに上る回答が男性では5割以下にとどまった。
また、働きに出る母親と専業主婦でもこの2つの設問の回答には開きがあり、働く母は子どもの病院の予約が、専業主婦は子どもの居場所確認が高い結果で、いずれも6割を超えた。親は子どもの安全確認を非常に気にかけており、健康や病院に関する現状の課題をIoTで解決したいというニーズが高くあることがわかった。
健康と高齢への課題に対して、30代~40代の働き盛りはIoTをどう見ているか。「健康に関してIoTで管理したいこと」としては、「睡眠状態」(35.1%)がトップで、「体重、体脂肪」「熱、病気」が僅差で続いた。睡眠状態を最も気にかけているのは、仕事や育児に追われて時間が足りていないことも背景にありそうだと両社は分析する。また、70歳以上の家族がいる回答者に「IoTで離れた親に対して取り入れたいこと」を尋ねたところ、「高齢者の居場所・安否確認」「高齢者の健康状態、病状の確認」に興味がある人がいずれも63.6%で並んだ。一方で、実際に利用経験がある回答者は、2%に満たない。
両社は、IoTのサービス提供の視点として「IoTで解消したい“コト”から発想するべきだ。特に IoT サービスの導入に積極的な30代~40代は仕事という場所や時間に縛られており、守るべき対象への不安を解決したい」と指摘する。これは生活者に向けてIoTサービスを企画・開発する際の方向性の1つを示しているといえそうだ。