リンクジャパン、ガスや水道の検針をクラウド化

2019年01月30日日経新聞

 
あらゆるものがネットにつながる「IoT」機器開発のリンクジャパン(東京・港)は既設のガスや水道メーターの情報をクラウド管理できる機器を開発した。小型カメラ搭載のクリアケースをメーターにはめ込み、メーターの数値を撮影して画像を送信。クラウド上で画像を数値データに変換して管理する。電力に比べてガスや水道のスマート化は遅れている。検針員が不要になるなど検針業務のコスト削減につながるとして全国のガス会社や水道運営する自治体に売り込む。

oT機器「eMeter」(イーメーター)を開発し、販売を始めた。住宅にあるガスや水道メーターに取り付け用アタッチメントをつけて、カメラ付きクリアケースをはめ込むだけで済む。

NTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどが提供する省電力で広域通信ができる無線技術「LPWA」を使い、メーターの数値画像をリンクジャパンのクラウドサーバーに送る。サーバーで数値をデータ化してガス会社や自治体が見られるようにする。

開発機器は電池で動き、1日1回の通信で5年間利用できる。価格は1台1万円未満を想定している。5年間で100万台の販売を目指す。

電力メーターはスマートメーター(次世代電力計)への切り替えが全国で進むが、ガスや水道はほぼ手つかずの状態だ。検針員が定期的に各家庭に出向いて検針している。離島や過疎地などは検針員の人件費がかさみ、採算が合わないケースも多い。「検針員の人手不足が叫ばれており、その解決にもつながる」とリンクジャパンの河千泰進一代表は語る。

電力でもテナントビルなど建物単位で一括受電している場合、入居するテナントごとの使用電力を調べるのにテナントごとメーター検針していることが多い。そのケースでも開発した機器は使えるとみている。

LPWAは通信料が月額10円からと低価格が特徴だ。リンクジャパンの機器からメーター数値を頻繁に送っても通信料はそれほどかからない。ガスや水道の使用量をみるだけでなく、「使用状況を常時分析して、高齢者の見守りに活用することもできる」(河千泰代表)とみる。

リンクジャパンは2014年8月に設立した。エアコンなど家電をスマートフォンで操作できるリモート管理機器やドアの開閉センサーなどを開発、販売してきた。今回の開発により民生向けだけでなく、業務用もIoT機器の用途を広げる。