広がる「孤食」 心身のために共食を
2019年01月06日EconomicNews
人の健康が食事に大きく依存していることは疑いようがないが、どのように食べるかということも重要のようだ。近年多くの学者が警鐘を鳴らす「孤食」が広がりを見せており、心身の健康を害することが懸念されている。孤食を減らすために、老若男女問わず食育を行うことが必要だろう。
孤食とは「1日のすべての食事を1人で食べている」ことだ。朝食だけは1人で食べる、夕食は家族で食べているといった場合には孤食にはならない。政府が閣議決定した2017年度食育白書では、孤食が週の半分を超える人の数は約15%いるとされ、11年に行われた調査から5%増加した。このうち「ほとんど毎日孤食」の人の割合は全体の11.0%で、なんと1割以上が毎日朝食、昼食、夕食を1人で食べているわけだ。
ではなぜこれほどまでに孤食が広がっているのだろうか。まず考えられるのが世帯の変化だ。高齢者の夫婦のみ世帯、高齢者の単身世帯は増加の一途をたどり、子供のいない夫婦も増えている。1人で食べたくはないが家族や同僚との都合が合わない、1人で食べた方が都合が良いなどの理由で孤食になってしまう人は少なくない。さらに深刻なのは一人暮らしの高齢者だ。友人を家に呼んで食事をするなどの努力をしなければ、ほぼ毎日が孤食になってしまうだろう。
孤食が進むと心身の健康に悪影響を及ぼすことが証明されている。例えば高齢者は孤食になることで低栄養の懸念がある。2012年に国立長寿医療センターが在宅療養中の約1,000人を対象に行った調査では、36%が低栄養、34%が低栄養の恐れがあるという結果だった。
孤食になると栄養の偏りや食の細りを指摘されることがないため、高齢者の低栄養が進行しやすいのだ。結果として要介護の高齢者を増やすことにもなりかねない。さらに研究によれば、誰かと食事を共にしている人の方がストレスが少なく、健康的な食品の摂取頻度が高い。さらにほとんど毎日食事をしている人は自殺願望が少なくなるという指摘もある。孤食をできる限り減らすために、高齢者のみならず国民への食育の徹底が必要だろう。