高齢者の身元特定にじわり成果 土浦市「見守りキーホルダー」

2016年1月20日産経新聞

 認知症などの高齢者が保護された際、速やかに身元を特定できる土浦市の「高齢者見守りキーホルダー」事業が開始から3年以上経過し、じわりと成果を上げている。キーホルダーには登録番号と市高齢福祉課の連絡先などが記されている。登録者数は約800人。これまでに11人の高齢者の身元が判明している。認知症患者は全国的に増加傾向にあり、この事業のニーズは今後、ますます高まりそうだ。(海老原由紀)

 この取り組みは高齢者が徘徊(はいかい)して行方不明になるなどの事態が発生したときに、早期に対応することを目的として、平成24年8月に導入した。独り暮らしや認知症の症状がある65歳以上を対象に、このキーホルダーの無料配布を始めた。

 同課ではキーホルダーの所持者の氏名や住所、緊急連絡先のほか、主治医などの情報も管理しており、医療面でも役立っているという。病院に救急搬送され、キーホルダーに書かれた登録番号から本人確認できたケースもある。

 市ではGPS(衛星利用測位システム)機能の付いた端末の貸し出しも行っているが、充電する必要があるほか、利用者側の料金負担もある。これに対し、キーホルダーは手軽に利用でき、登録料も無料にしている。

 24時間態勢を取っており、職員は連絡を受ければ登録番号から対象者を見つけ、警察や医療機関などに情報提供する仕組みとなっている。夜間や休日の場合でも、同課に連絡すれば職員の専用スマートフォンに転送され、そこからシステムにアクセスして登録情報を調べることができる。

 高齢者見守りキーホルダーは親族やケアマネジャーらによる代理申請も可能だ。利用者からは「外で何かがあっても大丈夫」との声が寄せられており、評判は上々。キーホルダーを所持することが、安心感につながっているようだ。

 市では警察との連携を強化する取り組みも進める方針だ。同課の担当者はキーホルダー事業について「迅速に対応でき、保護につなげることができる。不安に思っている人は活用してほしい」と呼び掛けている。