孤独死ゼロ作戦 板橋区“再挑戦”

2006年12月09日 東京新聞

 高齢者の孤独死を防ごうと、東京都板橋区がこれまでの施策の立て直しに乗り出す。同区は「ひとり暮らし高齢者孤独死・焼死者ゼロ作戦」をスローガンに掲げるが、個人情報保護や高齢者を狙った事件、縦割り行政などの影響で掛け声倒れの状況が続く。社会問題化する孤独死を重視し「何とか効果策を打ち出したい」としている。

 区は1997年度から「70歳以上の一人暮らし高齢者」を見守るべき対象として登録者名簿をつくり、町会や老人クラブ、民生委員でつくる「見守りネットワーク」が巡回している。

 しかし、高齢者名簿を保持しているのは警察や消防のみ。個人情報保護が壁となって町会や老人クラブに名簿を提供できないため、実効は上がっていない。このため区はネットワーク強化策として、郵便局や東京電力、東京ガスにも、名簿を渡さないかたちで協力を求めることを決めた。

 一方で、登録の必要性を感じないという高齢者の増加が課題として浮上。登録率をみると、開始年度(対象者6405人)が70.9%だったが、本年度(同1万1107人)は48.6%にダウンした。

 電話での安否確認サービスは振り込め詐欺などの影響で希望者が減少傾向にある。悪徳商法の影響で高齢者が戸別訪問に慎重になっているという指摘もある。

 ネットや福祉電話、ごみの戸別回収といった高齢者施策が区の各部ごとに行われていることも問題点の一つとされる。菊地裕之・区健康生きがい部長は「高齢者施策を取りまとめる部署が必要だろう」という。

 石塚輝雄区長は「命を守ることが最優先事項。お年寄りに理解してもらえる施策を考えていきたい」と話している。