弁当配達時に安否確認、防犯広報 大里村「野の花作業所」/沖縄
2005年11月29日 琉球新報
大里村の精神療養者小規模作業所「野の花作業所」(山城正人所長)の利用者が、村内の高齢者宅を訪問しながら弁当を配達している。高齢者の孤独死などが問題となる中、配食時を利用しての安否確認、「駐在所速報」の配布による防犯広報活動などで、地域の大きな力にもなっている。
山城所長は「これまで福祉を受ける立場にいた障害者が、福祉を提供する立場に立ったことで『自分たちもやればできる』と自信につながっている」と話している。
同作業所が村社会福祉協議会の委嘱を受け、村内の高齢者宅に社協手作り弁当の配達サービスを始めたのは2005年2月。週に4回の作業所利用者の訪問を高齢者も心待ちにしている。作業所利用者にとっても、あいさつや身だしなみなど社会適応能力の向上につながっている。
24日には与那原警察署(宮里久雄署長)から委嘱を受け、「野の花作業所防犯広報隊」を結成。宮里署長は高齢者宅への弁当配達を「相手を思いやる素晴らしい活動」と評価し「相手を思いやる気持ちがなくなると事件が起こる。その温かい気持ちを地域防犯に貸してほしい」と防犯広報隊に期待している。山城所長も「障害を抱えながらも、誰もが納得のいく社会参加が果たせるように、社会の一構成員として積極的に防犯活動に取り組んでいきたい」と意欲を見せている。
全国精神障害者社会復帰施設協会の新保祐元理事長は「独居老人宅への弁当配達は全国ではわずかにあるが、警察の広報活動協力は珍しい。就労訓練だけでなく、自分たちのやっていることが、社会貢献につながることは自己評価を高め、生きがいとなる」と新たな活動の広がりを評価した。