介護予防や疾病予防ができる高齢者向けサービスを名古屋大学と共同開発
-安全センター、「すこやか生活」-

2004年07月15日 ふくしチャンネル

 山武グループの安全センター株式会社は、高齢者が要介護状態や疾病にならないように健康に関する知識を簡単に学習できるサービス「すこやか生活」を、2005年春に販売開始予定と発表した。

 「すこやか生活」は、電話(コールセンター)とIT(高齢者専用在宅メッセージ端末)を用いて、健康に関する質問を中心とした学習プログラムを365日毎日提供するもの。

 高齢者専用に開発した在宅メッセージ端末に毎日表示される10問程度の健康(知識、行動、症状、生活)に関する階層型の質問に、簡単なボタン操作で答えてもらうことにより、個々人に合った介護・疾病予防の知識を参加型で自然に学習することができる。

 同サービスと電話でのアドバイス・勇気づけを組み合わせて、予防効果や利用者の継続性が向上するように配慮する。内容は介護予防と疾病予防全般に渉り、例えば、転倒予防の知識、痴呆や廃用症候群は予防が可能なこと、脳卒中などの服薬のコツ、栄養の誤解など、広範なプログラムを用意した。

 質問に対する回答から同社センター(あるいは行政や在宅介護支援センター)が利用者のリスク状況(環境変化、体調悪化、廃用・痴呆の予兆、知識の誤解など)をパソコンの管理画面で把握し、さらに24時間電話による健康相談窓口の情報も含めて、利用者の異常を早期に発見することができる。

 必要であれば受診を勧めたり、運動教室、栄養教室など行政や民間のプログラムを紹介する。また、個々人の状況に応じて最適な運動プログラム、食生活改善プログラムを提供する。

 同サービスの導入により、高齢者の要介護化、疾病の罹患・重症化、孤立化・閉じこもりを予防し、利用者にとって安心で健康的な生活を、国・自治体にとって介護・医療費上昇抑制を実現することができる。

 同社は、厚生労働省の介護予防・地域支え合い事業の緊急通報サービス分野において、5万人の利用者にサービス提供している日本で最大のサービス・プロバイダー。同社緊急通報センターには、看護師が24時間常駐するほか、医師、保健師、助産師、管理栄養士、健康運動指導士、心理カウンセラーなどが常駐している。

 「すこやか生活」は、これらのデータベースと高齢者コミュニケーションのノウハウを利用し、名古屋大学大学院老年科学の葛谷助教授の指導・監修のもと、開発した。サービス提供のシステムとしては、株式会社山武が先に発表した慢性疾患の重症化予防サービスのシステムを利用する。

 現在同社では、複数の自治体と導入検討を行っているが、「すこやか生活」の正式販売開始は2005年春、サービスの価格は1人あたり月額数千円程度になるとしており、今後、緊急通報システムおよび健康相談を利用した高齢者生活支援サービスと、自宅でもできる運動プログラムや食生活改善プログラムなども合わせて提供していくことを目指す。売り上げは5年後に10億円を予定している。