命を取りとめた高齢者の入浴中事故事例を紹介
-日本信号、安否確認・通報システム「見守り上手」-
2002年04月25日 ふくしチャンネル
日本信号は、高齢者が風呂・トイレに入った時の動作を見守り、異常と判断した場合、同居する家族に連絡するシステム「見守り上手」を販売している。今回、同製品によって、高齢者が一命を取りとめるという事例を公表した。
同システムは、財団法人テクノエイド協会の福祉用具研究開発助成事業の助成金を受け開発したもので、高齢者は「いざとなると、体は動かない」ということに着目し、異常が起きた時に家族に通報する安否確認・通報システム。高齢者が入浴する際には安心して入浴ができ、同居する家族は居間や台所にいても異常が分かるという製品となっている。
今回、公表された事例では、2002年2月15日の午後8時ごろ、埼玉県のK氏(90歳)が入浴中に意識がなくなり、「見守り上手」から音声で「お風呂に来てください!」と家族に通報があった。家族が急いで浴室にいったところ、K氏は浴槽の中に浮いた状態だった。助け上げると大量のお湯を吐き、危険な状況だったが、事無きをえた。
K氏宅は4世代7人暮らしの大家族。緊急時を考えて浴室とトイレに「見守り上手」が取りつけられていた。その日は夕食が済んだあと、ひ孫達は塾に出かけ、息子は近所の寄り合いで出かけており、家にはK氏と娘、孫の3人きりだった。K氏が「風邪気味だけど、お風呂に入れば良くなるだろう」と少なめの食事を済ませて浴室にいった。K氏はいつもの足を屈伸させる浴中運動をはじめたのだが、次に気が付いたときは救急車の中だったという。
入浴中の事故では、年間約14,000人が亡くなっており、特に、65歳以上の高齢者だけでも10,000人を超えていると言われている。入浴中の突然死のほとんどは熱中症の一種で、熱い湯につかり、体温が上がり、血圧が下がって意識を失うというもの。