Looopでんき、スマートホーム本格参入 便利なナインドットとは

2025年10月03日家電Watch


新電力会社のLooop(ループ)は、ホームIoT専業企業のグラモの完全子会社化を、9月1日に発表した。1日の時間帯によっても電気料金が変動する市場連動型の「Looopでんき」と、グラモが展開するAIエージェント搭載のIoT機器「ナインドット(9DOTs)」が、どのようにシナジーを発揮して成長していくのか、その展望について10月2日に行なわれた説明会で語られた。今回は、特にIoT機器「ナインドット」が、どう生活を便利にするのかに焦点を当ててまとめていく。

基本的なこととして、ナインドットはインターホンのモニターとして使えるほか、家電製品を操作するスマートリモコンとしても役立ち、家庭内のエネルギーの使用を“見える化”し、最適化するHEMSとしての役割も担える。

これまでは、インターホンやHEMS、スマートリモコンなど、それぞれにシステムを構築し、別々のアプリを使って操作する必要があったIoT関連機器をナインドットの1台に統合できるということ。また同機は、必ずしもアプリをスマートフォンにインストールしなくても使い始められるため、機器操作に苦手意識を持っている人でもスムーズに使い始められるとしている。なお、現状では主に新築集合住宅のデベロッパーや運営会社向けに販売。既築や戸建の住宅への導入は、コストがかさむため現実的ではなさそうだ。

実際にナインドットのIoTシステムを自宅で利用している、LooopのCEO・中村創一郎さんは「家族の生活が確実に変化しました」という。

海外出張が多い同氏は、子供の様子が気になった時に、アプリから部屋の中を見られたり、誰がどの部屋にどのくらいいたのかも分かるよう設定。子供たちの様子が遠くからでも見守れる点に利便性を感じているという。また出張時に、電話するほどでもないけれど、少し家族のことが気になるといったときにも、ナインドットを通して話しかけているという。

そのほかHEMS機能については、家族の生活習慣を把握して、電気料金を賢く抑えられる点が魅力だとする。一方で、もっとシンプルに、家の中のエリアごとや1日ごとに電力量が把握できるのも便利だという。

「うちは子供が6人いるのですが、特に上の子供たちが夜間にやたらとエアコンを使っていたんですね。それで次の火に妻が電力量を見て『あんたたち、ちょっと電気を使うのをやめなさいよ!』みたいな感じで怒っていたんですね(笑)。だいたい電気の使用料って1カ月後に請求が来てびっくりすると思うんですけど、それがすぐに分かって抑えたり対策がとれるのが便利だと、妻は話していました」(中村さん)

また家の中の家族の様子がなんとなく分かるという点にも言及。

「この機能を拡張すれば、高齢者の見守りにも役立てられます。また、例えばの話ですが、アルツハイマーになると活動量が一気に低下すると言われているそうです。実家にナインドットを設置して、活動量が今までよりもだいぶ減ってきているなぁといった予兆が早く分かればいいなぁと……そういったバージョンアップが将来的にできればいいなと思っています」

この見守り機能は、現時点でもできることは多いとする。例えば、活動量が少なければ、あらかじめ登録しておいた家族のスマートフォンへ自動で通知が送られたり、電話が発信されるといった設定にもできる。また本体に配置されているSOSボタンを押せば、家族へ通じるまで自動で連絡を試み続け、さらにその時点の様子を録画しておくといった設定も可能だ。

そのほか端末の右側には、ショートカットボタンが配置されている。例えば、ボタンを押せば親にアプリを通して連絡できるよう、あらかじめ設定しておける。

また機能が拡張された場合に、バージョンアップを遠隔から行なえる点は、ユーザーはもちろん、賃貸住宅などの管理や運営をしている企業にとってもメリットが大きいとしている。

文中でも記したが、現状では新築の賃貸住宅をターゲットにしている。また戸建住宅で個人で導入するのは難しいようだ。今後は、そうした個人向けに最適化した商品開発も予定しているという。もし導入できれば、一歩進んだ先進的な生活ができるのかもしれない。