高齢者見守り、民間救急と連携 沖縄初「おきでん」など名護で実証 緊急時、家族に代わり対応も
2025年09月04日琉球新報
おきでんCplusC(浦添市)、民間救急会社のフィルタス(愛知県)、官民連携の救急搬送システムの実装に取り組むOPHIS(東京都)は1日から10月末まで、情報通信技術(ICT)を活用した高齢者らの見守りサービスと民間救急を組み合わせた実証事業を、名護市の約50世帯で実施している。おきでんCplusCによると、県内初の取り組み。
おきでん―は2021年から最先端の技術を使ったセンサーで、自宅にいる高齢者らの睡眠や活動などを検知し、アプリで家族に状況を伝えるサービスを県内で実証してきた。異常時には高齢者の確認を促す通知が家族に届く仕組みだ。
今回の実証事業は異常時の通知先にフィルタスを加える。家族が対応できない場合などに、フィルタスが通知を受け取り、高齢者への電話や自宅の確認を行う。高齢者が倒れているなど緊急性が高い場合は119番通報し、必要に応じてフィルタスの職員が救命措置を取る。
フィルタスは医療依存度の高い患者の長距離搬送や医療機関向けの運営支援に取り組んでいる。臨床経験がある救急救命士や看護師が所属し、医療機器を積んだドクターカーを保有している。県内では名護市に事業所を置き、今年6月には市消防本部から「患者等搬送事業者」に認定された。
おきでん―は「だれひとり取り残さない見守り体制」の構築に向け、全ての高齢者世帯へのセンサー設置を目標にしている。事業には地域関係者や行政との連携も必要不可欠だが、異常時の通知が増えることで、行政の日常業務に支障が出る恐れもある。民間救急が行政と高齢者世帯・家族の間に入ることで、サービスの品質保持を目指す。
実証を前に、担当者から説明を聞いた名護市大西区の村瀬善一郎区長は「区民の約1割は1人暮らしだ。(民間救急との連携で)家族は安心して仕事ができ、早期発見もできる」と話した。