高齢者の見守りに「Alexa」、AIアシスタントで負担軽減・高齢者の楽しみにも

2025年09月04日ケータイWatch


 音声AIアシスタントが、離れて暮らす高齢者の見守りに一役買っている。アマゾン・ジャパンは、独居高齢者などの見守り・介護における音声AIアシスタント活用の調査結果を公表した。

 回答者は全516人。離れて暮らす65歳以上の親・親族の見守り・介護などのサポートにかかわっている人が対象。

AIで負担軽減、高齢者の楽しみにも

 調査対象者のうち、24.4%が見守りや介護に音声AIアシスタントを利用しており、うち80.2%が「見守り・介護に音声AIアシスタントは役立つ」と回答した。使われる機能で最も多いのは見守りカメラやセンサーとの連動、次点で音声・ビデオ通話が続いた。

 利用する高齢者は「孤独感が薄れる」など、話しかけて使うデバイスならではのメリットを感じとっていることがわかった。利用頻度の高い機能の第3位には「音声AIアシスタントとの会話」がある。高齢者の場合、スマートフォンを使いこなすのが難しいことも多いが、音声で操作する「Amazon Alexa」のようなデバイスであればすばやく通話がつなげられるなどの利点もある。

 音声AIアシスタントによる変化については、「見守る側の精神的な負担軽減」と回答した利用者が最も多かった。時間的な余裕ができることや経済的負担の軽減につながったほか、高齢者とのコミュニケーションも活発になったという。
 高齢者の側は「音楽などエンタメを楽しむ時間が増えた」という回答が最も多かった。音声で「〇〇年代の楽曲を再生して」などと話しかけると、簡単に懐かしい音楽を楽しめるため、高齢者にとってもコミュニケーション以外の楽しみを広げている。ほかにも服薬・通院のリマインドなど実用面でも役立てられている。

企業・自治体向けに一括導入も

 同社では企業や自治体などに向けて、デバイスの一括設定・管理サービスを提供する「Alexa Smart Properties」(ASP)を展開している。自治体、ホテル、マンションなどが主要なユーザーで、高齢者向け施設にも同じく導入されている。ASP向けのサービスとしてNTTデータの「ボイスタ!」が提供されている。

 高齢者施設での入居者とのコミュニケーション機能、簡単なゲームなどのコンテンツで暮らしのサポートや楽しみを提供する一方、職員の「声かけ」サポートも担っており、業務効率改善にもつながっている。

 「LINE」との連携で、離れて暮らす家族が施設にいる高齢者とのコミュニケーションも可能。家族側がLINEを使い、高齢者の生活状況を確認したり家族がLINEでアップロードした写真を、高齢者がデバイスを通じて閲覧したりできる。家族とLINEに不慣れな高齢者間でのコミュニケーションが手軽になり、ビデオ通話にも対応する。

 アマゾンでは、音声AIアシスタントが高齢者の見守り・介護で大きな可能性があるとして「Alexaを通じて高齢者とそのご家族、介護に携わる方々の暮らしをより便利で豊かにできるよう、貢献してまいります」としている。