出雲市、AIが代わりに介護予防電話 国内初、出雲弁にも対応 月1、ケアマネ負担軽減で効果検証

2025年05月29日山陰中央新報


 出雲市が2025年度、地域包括支援センター(高齢者あんしん支援センター)が担う高齢者への見守り電話で人工知能(AI)を活用する実証事業に乗り出す。高齢者の増加で介護予防サービスの需要が高まるのを見据え、職員の負担軽減につなげる。市によると、センターの既存業務をAIで置き換えるのは国内で初めてという。

 同センターは、ケアマネジャーが厚生労働省のガイドラインに基づき、介護予防サービス利用者に対して原則月1回の電話と、3カ月に1回の自宅訪問を行う。電話で利用者の状態やサービスの利用実績、効果などを確認し、必要に応じてサービス内容を見直している。

 実証事業は、月1回の電話をAIで代替する。利用者への聞き取り内容や電話後の対応は検討中だが、職員の負担軽減が期待できるという。AIは学習機能があるため、高齢者の出雲弁にも対応できるという。

 出雲市内には旧7市町ごとに1カ所ずつのセンターがあり、介護予防の推進や相談、権利擁護も担う。ケアマネは全体で20人以上が勤務し、1人が複数の利用者を担当している。

 介護予防サービス利用対象の要支援者などは21年9月末の3353人から、40年は3860人に増加することが見込まれている。今後、サービス利用者の増加が予想される中でケアマネが不足する可能性もあるとみて、AIを負担軽減策の一つとして、効果を検証する。

 市医療介護連携課の板井隆三課長は「人材確保が難しくなる中で、業務を効率化し、ケアマネの専門性を発揮できる環境づくりをしたい」と話した。