高齢者も安心な賃貸借契約を ライフサポートジャパン 玉櫛鉄平社長
2025年03月02日産経新聞
高齢者でも安心して賃貸借契約ができるサービスを提供するライフサポートジャパン(さいたま市中央区)。玉櫛鉄平社長(46)は今後、人の温かみを感じる地域づくりもしていきたいと意気込む。
--創業のきっかけは
「大きく2つあります。1点目は、家賃債務保証会社勤務時に、高齢者のお客さまの案件で保証会社が保証内容(範囲)として結果的に保証できなかったこと。2点目は高齢者が家を借りられない問題があることは聞いていましたが、実際に私の母親が年齢を理由に不動産業者に物件案内を断られたことです。特に2点目は、実の母親というのもあり『何とかしないといけない!』、『母親のような思いをした人をこれ以上1人も増やしたくない!』と考えていたら、自然と身体が動いていました」
--現在注力している事業内容や課題は
「日本の民間企業では初となる『終身建物賃貸借サービス』という新しい不動産賃貸サービスを提案しています。日本の普通賃貸借契約は、契約者が亡くなると相続される性質があります。ただ昨今では核家族化や相続放棄などの事情で、契約者が亡くなっても解約できないままの部屋が多く、大家が次の人に部屋を貸せない事例が増えています。これにより、死亡リスクの高い高齢者には家の貸し渋りをしています。そこで当社のサービスに関し賃貸借契約締結時に賃借人と当社で委任契約を結ぶことで、賃借人が亡くなった場合に当社が残置物撤去を行い、賃貸借契約を解約します。これにより、大家や不動産管理会社のリスクを回避できます」
--今に至るご苦労は
「必要とわかっていても『他社が使っていないから』などを理由に大家や不動産会社に門前払いを食らうのは日常茶飯事です。ただ、借地借家法に関連し、今秋から国土交通省の新しい施策が打ち出されます。当社のサービスを利用してもらうことで大家や不動産業者の理解を得ていただくことで、官民一体となって『新しい不動産賃貸マーケット』を築けると期待しています」
人の温かみを感じる地域づくりを
--新たに取り組みたい事業や目標は
「今後は現在提供している『健康相談付き見守りサービス』をより生活になじむスタイルにしていきたいです。また、万一、事故物件化しても、大家や不動産業者が安心できるサービスを積極的に展開していきたいです。他方、ICT(情報通信技術)に頼らない、昔ながらの古き良き日本の再生もしたいです。かつて、ご近所でのコミュニティーが形成され、助け合いや地域の防犯になっていたと思います。当社では、規格外の農作物を集めて格安で販売するマルシェなどのイベントを行い、『人が集う場』ができることで、その地域にコミュニティーが形成され、互いを知ることができると考えます。人の温かみを感じる地域づくりをしたいと考えています」
--埼玉企業としての意気込みは
「現在、さまざまな企業と業務提携しており、当社に関わるすべての皆さまに利益が生まれる仕組みにしたいです。今後、埼玉県内の各企業とコラボレーションすることで、より創造力が豊かになり、多くの社会課題解決につながると思います。5年後、10年後には日本国内では当たり前のサービスになっているような商品を開発、提案していきたいです」