あえて「脱・スマート」で見守りを――アイ・オー・データ機器が見守り用TV電話「memet」を開発 Makuakeで先行発売

2025年02月20日ITmedia PC USER


 アイ・オー・データ機器は2月20日、サブスクリプション型TV電話サービス「memet(めめっと)」を発表した。想定販売価格はサービス用のTV電話デバイスが1万9800円(買い切り)、サブスクリプションサービスは通信料込みで月額980円からとなる。

 通常販売(時期検討中)に先行して、同社ではTV電話デバイスをクラウドファンディング型の応援購入サービス「Makuake」で販売する。リターン(販売価格)は以下の通りだ。

超超早割(200台限定):1万3860円
超早割(200台限定):1万5840円
早割(300台限定):1万6830円
Makuake割(250台限定):1万7820円

memetの概要

 memetは、アイ・オー・データ機器としては初となるサブスクリプション型サービスだ。人口の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)となる「2025年問題」が訪れる中、「シニア世代に向けて、自社の技術をもって何かできることはないか?」と検討する中で生まれたサービスだという。

 同社はシニア世代の当事者だけでなく、その子どもや介護/社会福祉施設の従業員などにヒアリングを重ねた結果、シニア世代は「対人コミュニケーション」を求めている一方で、その手段としてのスマートフォンやタブレットを必ずしも使いこなせているとは限らないことが分かってきたという。

 一方で、シニア世代の子どもは、親の見守り(安否確認)を目的としてスマホやタブレットを渡すものの、先述の通り親がこれらを使いこなせないことに課題を感じていることが分かった。「(親は)病気やケガが原因で、スマホやタブレットを使うことが難しい」という声もあったそうだ。

 そこで同社は、自社の製品で培ってきた技術やノウハウを活用して、「脱・スマート化」したTV電話デバイスを開発し、通信サービス込みで提供することにした。シンプルに「決まった連絡先とTV(ビデオ)通話ができること」に特化して、余計な機能を付けないことでシニア層に継続して使ってもらえることを目指したという。

ハードウェアは試作を重ねる

 とはいえ、アイ・オー・データ機器にとって、memetは初めて挑戦するジャンルの製品である。シニア世代が“使い続けられる”ことを目指して、シニア世代の当事者だけではなく、社会福祉士、シニア世代の人が集まる公民館の管理者などからも意見を聞きつつハードウェアやソフトウェアの仕様を決めていったという。

 当初、memetはディスプレイをタッチパネルとしており、一部の操作を画面タッチで行うようにする予定だった。しかし「押した感覚がなくて、操作できているか分からない」という意見が寄せられた他、「シニア世代は指が曲がってしまっていることが多く、指で押したつもりが爪が当たってしまうことが多い」「指が乾燥していて(静電式)タッチパネルが反応しないことがある」といった指摘が寄せられたことから、製品版ではプッシュボタンのみを使って操作するように改めた。プッシュボタンについても、押すとカチッと音が鳴るタイプを採用している。

 また、操作を分かりやすくするという点では、「操作を分かりやすくするアイコン」よりも「動作が分かる(覚えやすい)表示」の方がよいということも分かったので、あえてアイコンではなく文字を使った表示も行っている。説明を極力少なくして分かりやすくすることにも取り組んだ。

通信サービス込みで提供 連絡先は3つまで

 サービスとしてのmemetは、通信料金込みの有料サブスクリプションで提供される。KDDIが提供する「au 4G LTE」の通信可能エリアなら、どこでも利用可能だ。月額料金は月間のビデオ通話時間によって以下の通り分けられる。ビデオ通話時間を超過した場合も、音声通話は無制限で行える。

ライトプラン(月間1時間):980円
ベーシックプラン(月間4時間):1480円
プレミアムプラン(月間8時間):1980円

 TV電話との通話は、memet本体に表示される二次元コードによってひも付けられたスマートフォン/タブレット(最大3台)とのみ行える「排他的連絡先交換方式」を採用している。この方式ではひも付け変更は当該memet端末の“目の前”でしか行えないので、なりすましを極限まで抑えることができる。

 ただ、「メリットはデメリット」というところで、memetを遠く離れた場所に設置した場合、スマートフォンやタブレットを機種変更したら設置場所まで出向かないとひも付けを変更できない。詐欺防止の観点からこういう実装になったそうだが、もう少しどうにかならなかったのかという所はある。