地方で暮らす親を見守ってくれる自治体のサービスを活用しよう

2024年10月02日マイナビニュース


「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。

お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

日本の総人口は、2023(令和5)年10月1日時点で、1億2,435万人。65歳以上の人口は、3,623万人。総人口に占める65歳以上の人口割合は、約29.1%です。国立社会保障・人口問題研究所の「日本将来推計人口(令和5年推計)」に推計結果によると、2070(令和52)年には、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上になるというデータがあります。

また、65歳以上の一人暮らしの人は、男女ともに増加傾向にあり、1980(昭和55)年には、65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2020(令和2)年には男性15.0%、女性22.1%となり、2050(令和32)年には、男性26.1%、女性29.3%となると見込まれています。

自分の親は、「現役で働いているから大丈夫」、「健康そうだから大丈夫」、「まだ65歳未満だから大丈夫」などと思い、高齢に向かっている親の状況について目を背けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

親が、自分とは別世帯で元気に暮らしていたとしても、いずれは、親の生活のサポートが必要となる日がくるでしょう。

とはいえ、一人暮らしの親の生活が心配になったとしても、子の生活までも大きく変えることは難しいのが現実です。そこで、自治体の高齢者向けサービスを活用してみるのはいかがでしょうか。今回は、「一人暮らしの親」の生活をサポートしてくれる自治体のサービスについてご紹介します。

■北海道奥尻郡奥尻町「高齢者の見守りサービスの費用の一部を助成」
対象者:一人暮らしの高齢者等
対象となるサービス:利用を希望する人が自らサービスを選択する。
(例)・カメラやセンサー(電球やポット)などを設置する見守りサービス
  ・訪問や宅配、電話、ホームセキュリティなどによる見守りサービス
助成額:以下の【1】または【2】のいずれかの額を限度とする。
【1】初期費用:2万4,000円
【2】月額利用料12カ月分、もしくは、1万5,000円の、いずれか低い方の額
注意点:助成は、高齢者等1人につき1回が限度となる。

■宮城県塩竃市「高齢者あんしん見守り支援事業」
対象者:65歳以上の一人暮らしの人等
対象となるサービス:利用を希望する人が自らサービスを選択する。
(例)・機器を冷蔵庫等の生活導線上の扉に設置し、その機器が扉の開閉を感知すると自動的に見守る人にメールが届く。
  ・緊急通報、警備員現場急行、安否見守り等の機能があるホームセキュリティ
助成額:以下の【1】+【2】の額の一部または全部
【1】見守り機器の設置費用等の初期費用・1万5,000円まで
【2】月額利用料3カ月分・3,000円まで
注意点:申請期限は2024(令和6)年12月27日(金)まで

■岡山県岡山市「在宅福祉サービス/給食・配食サービス」
まごころ給食サービス(民間業者による配食)の場合
対象者:65歳以上の虚弱な高齢者等で、自分で調理することが困難であるか、または援護が受けられない一人暮らしの人等
対象となるサービス:1日1食(昼食)を月曜日から金曜日の平日(祝日・お盆・年末年始は除く)に、民間業者が直接自宅まで届ける。
利用料:1食400円
注意点:地域のボランティアによる配食である「ひまわり給食サービス」を利用できない地域の人が対象となる。

終わりに

「一人暮らしの高齢者の生活をサポートする自治体サービス」は、各自治体が独自で支援するもので、内容も様々です。一人暮らしの生活を「見守る」サービスとして、緊急時等に反応する機器を自宅の中に設置する費用や利用料の一部を負担するサービスや、高齢者の「食生活の安定や栄養バランスの補足など」を目的として食事を届けるサービスなどがあります。

自らは都心部で独立して暮らしており、親は地方で一人暮らしをしているというケースに該当する方は、親が暮らす自治体の高齢者向けサービスを確認してみましょう。