高齢者7人に1人が認知症へ、行方不明は10年で倍増…求められる見守りや活躍の場
2024年05月09日読売新聞
2040年に、高齢者の7人に1人が認知症になるとの推計結果が、8日に開かれた政府の「認知症施策推進関係者会議」で公表された。長寿社会では、誰もが認知症になりうる。住みなれた街で安心して暮らすための取り組みがさらに求められる。
「認知症は軽度から重度まで様々だ。誰もが住みやすい共生社会作りに尽力したい」。会議に出席した当事者団体「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子代表理事は話した。
今年1月施行の認知症基本法は、「共生社会の実現」を目的に、国や自治体の責務を定めている。自治体が支援策を作るのに際し、認知症の人や家族の意見を聞くことを努力義務とした。
神奈川県大和市は同法に先駆け、21年9月に「認知症1万人時代条例」を施行した。本人や家族と市民が価値観を共有し、街づくりを行うことなどを理念に掲げた。認知症への理解を深めるシンポジウムに本人が参加したり、企業の製品開発に関わったりする取り組みの支援に力を入れる。
認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子副センター長によると、趣味や語学能力を発揮し、地域活動に参加する人もいる。「個性や能力を生かせるよう、行政が本人のしたいことをよく聞き、活躍の場を作ることが重要だ」と語る。
認知症高齢者数の増加に伴い、行方不明になるケースも相次いでいる。警察庁のまとめによると、22年は延べ1万8709人。ほとんどは、1週間以内に見つかったが、12年(9607人)から10年間で約2倍に上っており、地域の見守りが欠かせない。
認知症の人と家族の会(京都市)の鎌田松代・代表理事は「同じ所を行ったり来たりして困った様子の高齢者を見かけたら、研修を受けたボランティア『認知症サポーター』を中心に、地域の人が声をかけてほしい」と話す。