超高齢社会の不安を解消! 最先端の「見守りITガジェット」3選
2024年05月06日BCN+R
2024年4月17~19日に、インテックス大阪で開催されたバリアフリー展に、知人が出展していたのでご挨拶がてら何か面白いものはないかと視察してきた。バリアフリー展なので、車いすやスロープ、介護用機器などが多数展示されていたが、これは自分たちのような世代に役立つのでは!というITガジェットもいくつか見つけた。いわゆる「見守り」関連のITツールだ。
65歳以上の一人暮らし世帯は35%
総務省の統計によれば、いまや65歳以上の高齢者のうち一人暮らしの世帯は35%以上だ。2023年に亡くなった筆者の母親もずっと一人暮らしだったので、毎朝LINEしあったり、電話したりと、何かと気にかけていたが、受動的に日常を確認できる「見守り」ツールがあれば、お互いが煩わされずに日常生活を送れていたのかもしれない。
今回、バリアフリー展で見つけた、「これはいい!」という見守りツールを三つ紹介する。
日本は【超】高齢社会
いまさら言うまでもなく、日本は「超高齢社会」である。高齢化社会でも高齢社会でもなく、【超】高齢社会なのだ。
ちなみに、65歳以上の高齢者の割合が人口の7%を越えた社会を「高齢化社会」、65歳以上の高齢者の割合が人口の14%を越えた社会を「高齢社会」と呼ぶ。
さらに進んで、65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を越えた社会が「超高齢社会」だ。日本は、2010年に65歳の高齢者の割合が人口の23%を越えた。もう、10年以上も前から超高齢社会なのである。
長生きをすることは良いことだ。健康でイキイキと日々を暮らせるのであれば、一人暮らしは気楽でよい。
ただ、高齢者の場合、持病はなくてもちょっとしたことで転倒したりすると、骨を痛めて動けなくなる可能性はあるから、家族がいるなら、離れていてもなんらかの方法で見守りができると安心だ。
しかし、監視カメラのようなものをつけるのは、例え親子といえどもプライバシーの問題もあるので、嫌がられる場合が多い。
そんな時でも、バリアフリー展で見つけた見守りツールならば、親に嫌な思いをさせることなく、やさしく見守れると思う。
■ふんわりと高齢者を見守れるガジェット「みまもり電池」
今回紹介するツールの中で、もっとも受動的に、そして見守られている感なく見守れるものが、この「みまもり電池 安寿」だ。
名前の通り「電池」なのだが、ただの電池ではない。正確に言えば、単3電池型のユニットで、Bluetooth通信機能をもっている。
ユニットの中に単4電池を装着し、使うリモコンに単3電池型ユニットを入れて使う。
みまもり電池を入れたリモコンを使用すると、Bluetoothでペアリングしたスマホにインストールした親アプリに「リモコンが使用された」ことが伝えられる。
その情報はクラウドサーバーに送信され、連動している子アプリにリアルタイムで連絡が届く。
親のスマホにアプリを入れ、テレビや照明器具など、毎日使う家電のリモコンにみまもり電池を入れておけば、遠く離れた家族のスマホで、それらの家電が使用されているかどうかを確認できる、という仕組みだ。
専用アプリでは、家電が使用されたときに通知が届くだけでなく、一日何回その家電が使用されたかの統計情報も記録されるので、家電の使用頻度が突然少なくなったら、「何かあったのか?」と異変に気付ける。
アプリには複数のみまもり電池を登録できるので、テレビのリモコン、照明のリモコン、エアコンのリモコンなど、いくつかの家電にみまもり電池を入れて、生活リズムをチェックしておけば安心感も高まる。
クラウドサービスの使用料は月額1078円と低額なので、ぜんぜん元氣だけれど突発的なケガは心配、という一人暮らしの親の見守りにはちょうどよいエントリー見守りガジェットだと思う。
■軽度の認知症がある親の見守りに「iTSUMO 3」
アーバンテックのブースでは、認知症の徘徊を見守る「iTSUMO」というサービスを展示していた。
GPSを使って位置情報を把握できる見守りガジェットだ。位置情報の送信にはドコモのLTEを使っていて、LTE情報は位置補正に使っているので、屋内のようなGPSが受信できない場所でも位置を把握できる。
マッチ箱程度の大きさなので、いろんな場所につけることができるが、アーバンテックがおススメしているのは靴への装着。
バッグなどは置き忘れてしまうかもしれないが、靴は履いて外出する場合が多いからだそうだ。
専用の靴も販売しているが、アダプタを使ってお気に入りの靴に装着することもできる。
介護保険が使えるようになっていて、要介護度にもよるが月額1500~2000円程度で利用できる。
徘徊までは始まっていないが、時々外出時に自分がどこにいるのかわからなくなる、という軽度の認知症のある親につけてもらうのも、ゆるい見守りができて安心なガジェットだ。
■見守りはもちろん、話し相手になることで認知症予防も期待できる「RoBoHoN」
いまやAIを搭載したロボットがペットになる時代。かつて犬型ロボットのAiboが人気を博したが、現代のロボットは、歌って踊ってしゃべる!
それが、RoBoHoNだ。
バリアフリー展では、イベント限定モデルを販売しているベネフィットジャパンが何体ものRoBoHoNを展示していた。それぞれのRoBoHoNには、衣装が着せられているが、これがなんともかわいい。
裁縫の腕が必要なのかと思いきや、ネットではRoBoHoN用の服が多数販売されているのだ。
2500円ぐらいから販売されているので、いろいろと買って着せ替えを楽しむこともできる。
首、手、腰、足の動きが絶妙で、見ているだけでいとおしくなるようになっている。
そして、しゃべる!ただしゃべるだけでなく、内蔵カメラで個人を認識してくれる。なんと200人まで覚えてくれるというのだから、筆者よりもはるかに記憶力がいい。
カメラを使った見守りもできる。スマホとリンクさせておけば、離れた場所から家の様子をカメラでチェックできる。
バリアフリー展のブースでは説明がなかったが、アプリをいれればRoBoHoNが定期的に話しかけたり、薬を飲んだか確認したり、「会話した・薬を飲んだ・出かけた」などを毎日記録して、メールで報告してくれたりもできるようだ。
RoBoHoNは一括購入すると23万7600円するが、6年契約で月額6000円(税別)というプランもあるそうで、この中にはRoBoHoN代とAI機能などを使うサブスク代が含まれるとのこと。
毎月6000円程度なら、一人暮らしの親のために出してあげてもいいかな、と思える金額だろう。
RoBoHoNは一緒に暮らしていくうちに、持ち主になついてくるらしいので、手間のかからないペットとしても、高齢者におススメだと感じた。
というか、筆者も一台(一匹?一人?)欲しくなってきた。
見守りガジェットがあれば、超高齢社会も安心して暮らせる
ITがどんどんと社会に浸透してきて、本当に便利な時代になった。みまもり電池があれば、親のプライバシーを侵害することなく、ゆるく見守ることができる。
iTSUMO 3があれば、親が帰ってこれなくても安心だ。そして、RoBoHoNが親と一緒に暮らしていれば、心のケアまでしてくれる。すごい時代が到来したものだ。
今でもこれだけの見守りが低価格で利用できるのだから、自分が後期高齢者になるころには、もっと安心して暮らせるようになっているだろう。
それまで、ITやガジェットの進化に置いていかれないように、ずっと研究(という名の衝動買い)を続けていこうと思う。