高齢者やネットカフェ難民ら「住宅弱者」の住まい探し、行政がサポート…支援センターを全国に
2024年03月28日読売新聞
厚生労働省は新年度、困窮する高齢者やひとり親など、「住宅弱者」と呼ばれる人々の住まい探しを支えるセンターを、全都道府県に新設する。不動産事業者や大家が物件の貸し出しをためらわぬよう、就労支援や見守りを行う福祉団体などと連携し、入居後も借り主をサポートする。
新設するのは「居住相談支援センター(仮称)」。支援対象は、アパートの取り壊しや収入減で転居が必要になった高齢者や、離婚に伴って家を出たひとり親、ネットカフェ難民など。年齢や経済的事情から、賃貸物件への入居を断られがちな人たちで、全国に5万人ほどいるとみられる。
相談窓口には、住宅事情と福祉の両分野に詳しい相談員を1人以上配置する。地元の不動産事業者の協力で、高齢者やひとり親を受け入れる賃貸物件を探す。就労支援団体の紹介も行う。
厚労省は運営費の4分の3を自治体に補助し、新年度は都道府県に1か所ずつ設置する。将来的に約900か所に増やしたい考えだ。
国の調査(2021年度)によると、賃貸住宅の大家の7割が高齢者世帯の入居に不安を抱いていることが分かった。孤独死や家賃の滞納などを懸念しているとみられ、センターは社会福祉協議会などと見守りに力を入れ、亡くなった後に家財を処分する専門業者とも連携する。
厚労省の担当者は、「住宅弱者には従来、自治体の福祉部門や建築部門が別々に対応していたが、ワンストップで受け止める窓口が必要だ」と語る。