高齢者の「見守り役」通報装置の貸し出し低調 福山市「24時間相談でき安心」
2023年12月31日中国新聞
広島県福山市が2022年度から進める1人暮らしや家族と同居していない高齢者の見守り事業で、緊急時にコールセンターへつながる通報装置の貸出台数が伸び悩んでいる。市は周知不足や設置に必要な協力員の確保が課題とみて、改めて設置を呼びかけている。
緊急通報装置は、ボタンを押すとコールセンターに24時間つながり、看護師や保健師が応対。緊急時は消防に通報する。市は当初、貸出台数を約940台と見込んでいたが、今年11月末時点で379台と低迷している。
装置には相談ボタンもあり、健康の不安や生活相談もできる。1人暮らしの自宅に設置している渡辺光二さん(70)=駅家町=は足が不自由で心臓などに持病がある。「看護師が定期的に健康状態を聞いてくれる。お守りのようで心強い」と話す。12月には心筋梗塞の発作が起き、看護師に相談してかかりつけ医を受診。カテーテル手術を受けたという。
市は同様の装置を1991年から貸し出していたが、コールセンターではなく家族や民生委員につながる仕組みだった。現行の装置では、コールセンターから安否確認の要請があった場合に駆け付ける協力員2人の確保が必要だが、市内に住んでいれば誰でもよく、渡辺さんも近所の人にお願いしているという。
装置には、自宅の固定電話に接続するタイプと携帯型のものがある。利用者本人の携帯電話も活用できる。地域包括支援センターか居宅介護支援事業所を通じて市へ申し込む。固定タイプは、市民税非課税世帯は無料で利用できる。
市高齢者支援課の野田千恵地域支援担当課長は「24時間相談できる安心感がある。健康や生活に不安を抱える方は設置を積極的に検討してほしい」としている。