四国電力系、無線機器で自動検針 高齢者見守りサービスも
2023年12月20日日経新聞
四国電力グループの四国電力送配電(高松市)が、スマートメーターを活用した遠隔検針事業の外販や見守りサービスの実証実験を四国4県で拡大している。過疎化が進む地域での検針作業を自動化する外販サービスで、2021年春以降に約3万台を導入。高知県では水道使用量で異常を検知した時、親族や自治体に通知する実験をしている。
スマートメーターは通信機能を持つ機器で、ガスや水道事業者の検針員が自宅などを訪れなくても、遠隔で検針作業が完結する。LPガスボンベの残量の把握や開閉作業を遠隔地から実施できるため、検針員以外の省人化にもつながる。
人口が密集する都市中心部では検針員などの人手不足の影響は少ないが、山間地などでの作業は事業者の負担となっていた。四国電力送配電は四国ガス燃料(愛媛県今治市)などにサービスを提供している。
これまでに導入した3万台のほぼすべてがガス事業者向けで、水道の遠隔検針はグループ会社が運営するサービス付き高齢者向け住宅「グレイスベース高松」(高松市)に導入した36台のみ。サービスの料金は非公表で機器の数などによって異なる。
検針員の人手不足はほかの地域でも課題だ。四国電力送配電は11月から徳島県神山町、10月からは愛媛県伊方町で水道メーターの情報を遠隔取得する実証実験を開始した。現地のメーターと遠隔取得した情報の整合性などを検証しており、同様の実証実験は徳島県海陽町のほか、高松市の離島「女木島」などでも展開している。
高齢者などを対象とする見守りサービスは、12月1日から高知県仁淀川町で実施している。18世帯の水道メーターと火災警報器に無線通信端末を取り付け、水道の使用量が多すぎたり少なすぎたりした状態を異常と判定する。
メールで親族や近所の住民のほか、自治体や事業者に通知することで事故防止などにつなげる。体調不良での転倒や火事発生といった緊急時でも、消防署などへの通報がなくても速やかに関係者が対応する。実証実験は1〜3年など長期間実施し、世帯数や導入地域の拡大を検討する。
四国電力送配電は四国4県の自治体に同様の実証実験の実施を持ちかけ、本格導入の機器数を拡大させる方針だ。電力自由化で新電力との顧客の争奪戦が激化し、四国4県は今後も人口減が加速することが見込まれる。そのため既存顧客に自社グループの電力の利用継続を促し、新規顧客の獲得につなげる狙いもある。