ボタン一つでSOS 南砺・安居で県内初 スマホと連動、告知端末導入
2023年12月19日富山新聞
南砺市安居地区協議会は、電子回覧板に利用できるスマホアプリ「結(ゆい)ネット」と富山市内のメーカーが製造する告知端末(マゴスピーカー)を連動させた見守り活動を始めた。スマホに不慣れな高齢者がボタンを押すだけで、救助要請や安否を伝えることができる。県内初の取り組みで、同地区では防災訓練の安否確認やクマ出没の情報発信で活用し、来年度は2倍の20世帯で導入する。
安居地区協議会が、県中山間地域チャレンジ支援事業を活用して3年間で150万円の助成を受け、取り組む。県中山間地域対策課によると、結ネットと告知端末を組み合わせた見守り活動は県内では初めてとなる。
安居地区は約190世帯で高齢化率は42%。2年前に「結ネット」を導入したが、スマホを持たない高齢者もおり、情報伝達方法が課題だった。県の紹介で、立山科学ハイテクノロジーズ(富山市)が製造する告知端末を試験導入。9月に80代の一人暮らしや高齢夫婦の10世帯に設置した。
告知端末は高齢者が救助が必要な時は「助けて」のボタンを押し、声で体の状況を話すと見守り担当にメッセージと音声が届く。災害時に元気な時は「無事」を押す。見守り担当からのメッセージを確認する時は「再生」のボタンを押すと通知内容が音声で流れる。
高齢者が部屋で倒れ、端末の赤外線センサーが24時間、人を感知しない場合、見守り担当に安否確認を求めるメールが届く。
これまで助ける求める発信はなく、防災訓練などで活用した。7日は安居交流センターで地元関係者が県の担当者らに利用状況を報告した。同協議会事務局長の山本剛さん(59)は「高齢者からも使いやすいとの声があった。地域の見守り活動の強化につながる」と期待を話した。