電力使用データで高齢者見守り ビッグと北電 事故物件化防ぎ入居拡大へ

2023年11月29日北海道新聞


 賃貸仲介道内大手のビッグ(札幌)と北海道電力は12月1日から、電力使用データを使った高齢入居者の見守りサービスを始める。賃貸住宅で電力使用が途絶えた場合に情報共有し、入居者の安否を確認。孤独死などで「事故物件」になるリスクを抑える効果が期待でき、大家がためらうことも多い単身高齢者の入居拡大につなげるのが狙いだ。

 両社が29日、業務提携を交わした。北電は賃貸住宅に設置した遠隔検針用のスマートメーターで30分単位のデータを取得できる。3日間など一定期間、普段の生活が推定できる電力消費が確認されない場合、システムが自動で検知し、入居者に電話をかける仕組み。

 応答がない場合、入居者の親族などにも連絡し、安否不明の際にはビッグと情報共有する。物件のカギを所有する同社の管理スタッフが現地を訪問する。月額利用料は1650円。

 札幌市の推計では、同市内の単身高齢世帯数は2035年度に約14万世帯に上り、全世帯数に占める割合は約16%に達する。国土交通省によると、大家の約7割が高齢者に賃貸住宅を貸すことに拒否感を抱いている。ビッグによると、札幌でも単身高齢者の受け入れを拒むケースが増えており、住宅の十分な確保が社会的な課題となっている。

 サービスはビッグの管理物件に入居し、北電と電気契約を結ぶ人が対象。ビッグは賃貸住宅への入居促進、北電は電気契約の拡大につなげたい考え。ビッグの担当者は「高齢世帯が安心・安全に暮らせる住宅環境を守っていきたい」と話している。