離れて暮らす家族は元気? “電力データ”で健康状態を見守る新サービス 三重・東員町が新たな取り組み

2023年10月27日CHUKYO TV NewsWEB


離れていても元気に暮らしているかどうかが分かる。三重県東員町で画期的な取り組みが始まっています。

三重県東員町に住む松本美江子さん(83)。
7年前に夫の正道さんが他界、それ以来、美江子さんはこの家に1人で暮らしています。
健康の秘訣は日課にしている得意のダンス。

松本美江子さん:
「ダンスの方がこうしてできる。こういう動き好きなの」

人に頼らずできることは全て自分でやるのが松本さんのモットー。

松本さん:
「わたし元気だから子どもたちにもおかあさん魔法使いやとあだ名付けられている」

離れて暮らす子どもたちはありがたい反面、心配もあるといいます。

娘の佐治由里子さん:
「小さな心配ごとがあっても事後報告だったり、私を頼りにすることはあまりなくて、あんなに元気なので、今後心配が増えてくるかなと思います」

1人暮らしの高齢者が増える中、離れて暮らす家族が抱える心配事です。
東員町はそんな悩みを解消すべく10月から新たな取り組みを本格スタートしました。

東員町・健康長寿課 児玉豊和さん:
「ご家庭の電力の使用量を元にAIの人工知能で分析して、健康状態や“フレイル”(虚弱)の兆候をいち早く検知する事業を開始しています」

健康管理のカギを握るのが「電力データ」。例えば、エアコンや電気の使用量が急激に増えた場合、住人が外出をしなくなったことがわかり、心身に何らかの問題が起きたのではと考えられます。

また、使用量に昼夜逆転の傾向があると、通常の生活ができておらず、認知症の症状の疑いを察知できるというのです。

電力データはこれまで電力会社だけが保有していましたが、10月からは自治体などが提供を受け活用できるようになったのです。

松本さん:
「私の現状はいつなんどき体調の変化があるのかわかりませんので、安心よね。こういうのに関わらせてもらうと」

本人の同意の上で共有される電力データ。

東員町は、電力情報の共有を全国に先駆けて利用し始めたため、すでに65歳以上の100世帯が参加しています。
その背景には特別な事情が。

東員町・健康長寿課 児玉さん:
「昭和50年代に大規模な住宅団地が開発された関係で、団塊の世代がたくさん住んでおられます」

昭和50年代に開発された住宅団地。それまで町の人口は約1万人でしたが、一気にその倍の約2万人まで増加しました。

それから40年あまりが経過し、住民の高齢化と1人暮らしの見守りが切実な課題となっているのです。

東員町・健康長寿課 児玉さん:
「元気なうちにデータを蓄積していき、将来的に何らかの変化が出たときにいち早く検知ができるために元気なうちからおすすめをしています」