シャープと三菱電機の家電で高齢者見守り 石川県能美市でサービス提供
2023年10月02日産経新聞
シャープと三菱電機は石川県能美市と連携し、ネットにつながる家電を活用した高齢者見守りサービスを令和6年から開始すると2日、発表した。複数の家電メーカーが連携し、地域の高齢者を見守るシステムを構築するのは国内初という。
IoT(モノのインターネット)に対応した家電を活用する。家電のセンサーが感知したデータを自治体のシステムに提供する仕組みで、能美市に住む高齢者らが対象となる。シャープの空気清浄機と三菱電機のエアコンを対象の高齢者宅に設置。室内が高温のままだったり、人の動きが長時間確認できなかったりの異常を検知すると、事前登録した親族や町内会長などに通知が届く。家電の音声機能を使い、警報や避難指示などの防災情報を利用者に提供するサービスもある。
6年2月、約100人を対象に試験的にサービスを提供し、同4月から本格的に運用を開始する。能美市の井出敏朗市長は「令和7年度以降にサービスを高齢者だけでなく全世代に拡大する」と話した。
これまでも各電機メーカーは、IoT家電を使った見守りサービスを進めてきた。象印マホービンは平成13年から電気ポットの使用状況を家族に通知するサービスを提供。ポット自体に通信機能があり、利用者宅にネット回線がなくてもすぐに使うことができる。パナソニックホールディングスのエアコンは、スマートフォンアプリを使って遠隔地の家族の使用状況を確認できるほか、室温が31度以上、もしくは15度以下になったら自動で家族らに通知する機能を備えている。
ただ、見守りサービスの需要が拡大する一方で、企業の垣根を越えて連携できる例はほとんどなく、利用者は特定のメーカーの家電で統一しなければならないなどの不便を強いられていた。能美市の事例では、電子情報技術産業協会(JEITA)らが手がける「イエナカデータ連携基盤」などを活用して複数メーカーのIoT家電の連携を可能にした。北陸先端科学技術大学院大の丹(たん)康雄副学長は「メーカーや機種に関係なく情報を活用できる。非常に将来性があるサービスだ」と話していた。