高齢のおひとりさまを救う?「奇跡」のキーホルダーが全国でヒット

2023年06月25日朝日新聞


 ひとり暮らしの高齢者の増加とともに増える「異状死」。「孤独死」などの明らかな病死以外の死をさすが、2021年に警察に届けられた件数は17万件を超えた。「異状死」を防ぐアイテムとして、東京都大田区で作られた高齢者向けのキーホルダー「見守りキーホルダー」が全国で注目されている。

 同区の地域包括支援センターが2009年から始めた取り組みで、地域で暮らす65歳以上の高齢者が希望すれば、緊急連絡先や、かかりつけの医療機関、病歴、ひとり暮らしであるか、否かなどの情報を区に登録でき、個別の登録番号が入ったキーホルダーが配布される。

 大田区の65歳以上の高齢者は約16万7千人、65歳以上のひとり暮らしの世帯は約4万3千世帯(20年の国勢調査)。登録者は5月現在で3万6千人を超えた。

 高齢者が登録番号入りのキーホルダーを身に着けることで、自宅や外出時などで倒れても、医療機関や警察からの照会に対し、夜間、土日でもセンターが迅速に対応できる。登録情報を年に1回、誕生月に必ず更新することになっており、ひとり暮らしで介護の必要がない高齢者と地域包括支援センターの間につながりができる。

 はじめは大田区の一部の地域包括支援センターの取り組みだったが、「高齢者から大きな反応があった」(担当者)。12年以降は大田区が事業化し、全域で登録ができるようになった。


 たとえば、22年8月にはタクシーに乗車した80代女性が、自分の住所がわからない様子だったのでタクシー運転手が交番に連れて行った。その後、警察官が女性が持っていた見守りキーホルダーを見て地域包括支援センターに連絡し、本人の登録情報を知ることができた。区高齢福祉課は「効果がでている」という。