営農や暮らし ICTで便利に 直売所利用、資材注文…スマホで管理 全農が「スマートシティ」構築

2023年04月01日日本農業新聞

 

 JA全農は31日、JAグループが手がける営農・生活事業の情報を情報通信技術(ICT)でつなぐJAグループ版「スマートシティ」の構築を2023年度から始めると発表した。利用者がスマートフォンで、農業資材の注文や営農管理・暮らしに関わる情報を一括で管理できるようにする。将来的には見守りサービスやオンライン診療なども構想し、農村を総合的に支える仕組みを目指す。

 「スマートアグリコミュニティ」と題し農村地域の利便性向上を目指す。多様な事業を手がけ全国ネットワークがあるJAグループの強みを生かす。

 農産物直売所やAコープ、ガソリンスタンドなど、組合員や地域住民が活用するサービスの情報を一体的に管理できるスマホアプリを開発。事業利用でたまるポイント制度なども作る方針だ。

 スマホで営農管理システム「Z―GIS」のデータ確認や生産資材の注文などができる仕組みも検討する。

 脱炭素化も重視。太陽光発電と蓄電池の設置を進め、昼夜で電力需要が異なるJA施設と組合員の家の間で電力を融通し合う仕組みを試す。

 システム開発などで野村総合研究所や伊藤忠商事と協力。まず生活関連事業から手がけ、12月にもモデル地区の群馬県で実証試験を始める。他県への展開は25年度以降を見込む。段階的に「営農事業」「行政との連携」に実証範囲を広げる。

 将来的に自動車を登録会員で共同利用するカーシェアリングや高齢者見守りサービス、ドローンによる配達、オンラインを使った診療なども想定する。
 全農は「営農事業を加えた総合的なサービスの提供で地域を元気にする発展的な構想を進めていきたい」(総合エネルギー部)とする。

<ことば> スマートシティ
 ICTや人工知能(AI)を活用して地域のインフラやエネルギー利用などの情報を管理し、住民の利便性を高めた都市。過疎や防災対策、環境負荷などの課題を解決する手段とされる。