AI稼働前に問題点を洗い出す。「高度化見守りカメラ」事前倫理検証実施。JDMC✕加古川市

2023年03月27日Ledge.ai

 

一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)と加古川市(市長:岡田 康裕)は2023年3月24日、AIデータ活用事業推進に向けた分かりやすい客観的な説明を重要とし、JDMCの「倫理フレームワーク」を用いて、倫理観点での問題点を事前に洗い出す検証を実施したと発表した。

倫理フレームワークについて

JDMCによると、データ活用にて新しいことに取り組む際には、事前に「つまずきポイント」を見つけ対策を講じていくことが重要だが、法令に基づく確認だけでは不十分なため、倫理観点で見つける必要があるという。「倫理フレームワーク」は最近の問題事例を分析し体系的に整理されているとのこと。

最近の数多くの事例を基にしているため、チェック項目においては時代に即した内容であるという。同フレームワークでは、図の5つの倫理項目で整理しており、同項目下に14個の「つまずきポイント」があり、その配下に49個の「チェック項目」が用意されているとのこと。

背景

同市では平成29年度から、小学校の通学路や学校・公園周辺を中心として住民のプライバシーに配慮しながら「見守りカメラの設置及び運用に関する条例」を制定し、見守りカメラ約1,500台を設置。地域総がかりで子どもや高齢者を見守る地域コミュニティの強化に取り組んでいるとのこと。同取り組みは、犯罪抑止効果・犯罪の早期発見に役立っており、設置から約4年間で市内の犯罪件数は半分以下に減少したという。

令和4年度には、犯罪・交通事故の未然防止の仕組みを強化し、さらなる安全・安心のまちづくりを行うことを目的に、AIを搭載した「高度化見守りカメラ」150台の設置をすすめているとのこと。同カメラを活用することで、人流データ、車両接近データ、異常音検知位置データなどの派生データを取得し、犯罪・交通事故の未然防止などへの活用が見込まれる。

検証について

同市は、住民のプライバシーへの配慮や個人情報保護の観点から、見守られる側である市民やデータ活用で影響を受ける社会の人々が理解し納得できるよう、より分かりやすい客観的な説明を行うことが重要であると述べる。同カメラの設置について、倫理観点での問題点を事前に洗い出すために、JDMCの「AI・データ活用のためのコンプライアンス研究会」が作成した「倫理フレームワーク ~49のチェックリスト」に基づき、加古川市とJDMCが協力して検証が実施されたとのこと。

■検証結果
同市は「高度化見守りカメラ事業」において講じた対策を「倫理フレームワーク」に沿って確認し、倫理的にカバーすべき点が網羅的に対応できていたことが確認できた。

JDMCは、個人情報やAIを用いたデータ活用の事業の倫理観点でのチェックにおいて、「倫理フレームワーク」の有効性が実事業で確認できた。また「倫理フレームワーク」を適用する過程で、同市が事業の情報を整理し、49項目のチェックと対応状況を整理したが、このプロセスは、同事業の関係部門や関係者間で共通認識を形成するためにも役立つことが検証できたとのこと。