離島の高齢者を見守るのは「ロボット」 毎朝の声かけや体調を確認 三重
2023年03月07日メーテレ
三重県の離島で暮らす高齢者を見守るのは小さなロボット。生活にどう役立つのか、調査が行われました。
三重県南部にある鳥羽市の神島。鳥羽市の港から船で約30分、人口300人ほどの小さな島です。
この島では2月まで、ある調査が行われていました。
「寒いので体が硬くなっていませんか背筋を伸ばしてみて深呼吸しましょうね」(ロボットの声)
鳥羽市は企業などと協力して、2022年12月から離島の高齢者の住宅10軒を対象にロボットが高齢者の見守りにどのように役立つかを調べました。
住人の小久保春美さん(90)は、3カ月前から夫が病気の療養で志摩市の施設に入所しているため、いまは1人で暮らしています。
小久保さんには、ロボットが毎朝、声をかけ、体調の確認などをします。
「朝におはようといってくれる、血圧を測りましたか?お薬飲みましたか?といってくれる。血圧計があるのでこれで計っています。一人でいるより子どもが一緒にいるという感覚、子どもがしゃべってくれるというか」(小久保春美さん 90歳)
「今から散歩に行ってきますで」(ロボットに話しかける小久保さん)
東京のセキュリティ会社のスタッフがロボットを通じて声掛け
「なんでも話できるし、それに応えてくれる」(ロボットを利用する住民)
ロボットの向こうにいるのは東京のセキュリティ会社のスタッフです。スタッフは高齢者のそれぞれの生活リズムを把握していて、ロボットを通じて、定期的に声掛けを行います。
また、部屋に設置されたセンサーが高齢者の動きをとらえていて一定の時間、反応がない場合は島で高齢者の見守りを行う役割の集落支援員に連絡をして、安否確認を行ってもらいます。
5年ほど前から島で見守りを行う集落支援員の女性はロボットなどの活用に手ごたえを感じています。
「わたしが常時回れないので助かる。心のささえが一番大きいと思う。一人暮らしの夜、こういった(新型コロナの)パンデミックな状況の中で1人で取り残されたと思われる方が多くなると思う、外に出られない時期があったので、そういう時は話し相手とか私には話ができるこの子がいるということ思ってもらえたらいいかと思う」(支援員)
島の外の薬局から島にはない薬を自宅に配送
神島の隣にある、答志島。調査では、高齢者に対するオンラインによる診療や服薬指導も行われました。
島の外にいる医師や薬剤師がオンラインで高齢者から話を聞き、薬の処方や服薬指導をします。
「血圧(の薬)が4種類と、コレステロールが1種類ですね」(島の外の薬剤師)
答志島には薬局がなく、診療所にある限られた薬を医師が処方しています。オンラインで服薬指導を受ければ、島の外の薬局から島にはない薬を自宅に配送してもらえるようになります。血圧を下げる薬を処方された女性は、これまで2回、オンラインでの服薬指導を受けました。
「薬剤師と話して、いままで2錠飲んでいたところを(島外にある薬なら)1錠にできると提案されて1錠にしてもらったりできた。(Q.自宅に届くのはどうか?)楽ですね。やっぱり」(オンライン服薬指導を受けた患者)
「長く離島で過ごす支援ができたら」
週に4回程度、神島に通い、診療所で働く医師の小泉圭吾さん(45)。オンラインによる服薬指導は島の医療関係者の負担軽減にもつながるといいます。
「離島の診療所の看護師の仕事の半分以上が調剤になってきている、本来はそこに力を注いでもらうのではなく、本当の看護師としての看護業務に力を注いでもらいたかった」(小泉圭吾 医師)
小泉さんは島の課題を技術で解決できる方法を探っていて、今回のロボットを使った生活支援やオンライン服薬指導の調査を市に提案していました。
「離島はどんどん人口減っていて今からもっと減ってくる、今のうちに対策立てておかないと、何もできないまま離島に住む人が困るのを見続ける形になる。少しでも便利になって最後までなるべく長く離島で過ごす支援ができたらいいなと思う」(小泉圭吾 医師)
調査は2月で終わりましたが、市はオンライン服薬指導については、今後も予算をつけて続けたいとしています。