世界最大級の家電・IT展示会「デジタルヘルスケア」に関心高く…世界市場は急成長

2023年01月09日読売新聞

 

米ラスベガスで開かれていた世界最大級の家電・IT展示会「CES」が8日(日本時間9日)、閉幕した。コロナ下の開催ということもあり、病気の診断や治療などにデジタル技術を駆使する「デジタルヘルスケア」の出展も関心を集めた。

 オムロンヘルスケアは、血圧測定と一緒に心電図を記録できる端末や、取得したデータを基に健康状態などをAI(人工知能)で分析するアプリを会場で展示した。医師の業務負担の改善や病気の早期発見を目的に開発した遠隔診療サービスも紹介。現地法人トップのランディ・ケロッグ氏は、読売新聞の取材に対し、「すでに欧米では展開しているが、今後はアジアでも広げていきたい」と話した。高齢化に伴って増加が懸念される脳や心血管の疾患について「発症ゼロ」を目指すという。

 CESに初出展したサントリーグループが披露したのが、腸の音を計測して健康状態を見極めるスマホ向けの「腸活」アプリだ。脳波などを計測して老化状態を推定するウェアラブル端末と並んで注目を集めた。

 新興企業のメディロム(東京)は、世界初となる充電不要の活動量計「マザーブレスレット」を公開。腕に装着して歩数や心拍数などを常時測定することができる。大平兼士・最高執行責任者は「高齢者の介護や見守りだけでなく、ドライバーの健康管理などにも活用してもらえる」と語った。

 デジタルヘルスケア市場は急成長している。カナダ・インドを拠点とする調査会社「プレセデンス・リサーチ」の推計では、2030年の世界市場は、21年の約5倍となる1兆3546億ドル(約178兆円)に達すると見込む。