AIスピーカーで高齢者を見守り 三次市が実証事業、中国地方初
2021年11月26日中国新聞
三次市は、声掛けに応答する人工知能(AI)を搭載したスマートスピーカーを使い、高齢者の見守りに役立てる実証事業を総務省と連携して中国地方で初めて開始した。日本郵便(東京)が開発したアプリをスピーカーに取り入れ、高齢者の生活状況の把握などに役立てる。
11月上旬、市内の高齢者15人にスピーカーを無償配布した。スピーカーの問い掛けに答えることで、日々の体調や服薬管理、睡眠状況などの情報が自動的に市高齢者福祉課に伝わる。市はスピーカーを防災情報の発信にも活用する。スマートフォンやパソコンと連携し、遠方に暮らす家族に生活状況を伝えることもできる。事業期間は来年2月上旬まで。
市中心部に1人で暮らす藤井恵美子さん(89)の自宅では26日、日本郵便の社員がスピーカーを置いた。藤井さんは、当日の気温や天気をスピーカーに尋ね、知人とのビデオ通話も試した。藤井さんは「画面が見やすく、操作も簡単。そばに誰かがいてくれるような安心感がある」と喜んだ。
事業費は総務省が全額負担する。日本郵便によると、同社のアプリを入れたスマートスピーカーを使った実証事業には、三次市のほか全国の4市町村が取り組む。市情報政策課の東山裕徳課長は「高齢者の安全確保や民生委員・児童委員の負担軽減につなげたい」と期待している。