IP告知端末で情報を 富士見町内で実証実験
2021年11月23日長野日報
富士見町内の住民有志らが来月から、IP告知端末の実証実験を御射山神戸区をモデルに始める。音声だけでなく文字や画像、動画でも情報を伝えられる端末を高齢者宅などに試験設置。7インチの画面が付いており、テレビ電話機能も備わる。配信された情報がいつでも確認でき、聞き逃しや見逃しを防げるのが強みの一つ。3カ月間行い、町民の快適な暮らしや安心・安全に寄与できるかを確かめる。
主体となるのは、JR富士見駅前で交流スペースを運営する「あんきらこん」と、一般社団法人・富士見町IT推進協会。町の公的な情報伝達としては有線告知放送、防災無線などがあり、配慮や工夫をしながら運用されるが、加入者の減や暴風時の聞こえにくさといった課題もあり、ICT(情報通信技術)の活用を模索してきた。
「アイ・コミュニケーション」(島根県松江市)が開発したクラウド型の双方向告知通信システムを用いる。操作が簡単で、高齢化率が高い中山間地域を中心に導入実績を伸ばしており、平常時のお知らせに加え、買い物支援や高齢者の見守りに活用する事例もあるという。緊急情報は通常と異なる音で告知。スマートフォンでも受信できる。
実証実験はマスター機1台と端末5台を借り、同区の協力を得て実施。町社会福祉協議会や商店も参加する。区民宅などの端末とマスター機を結んで情報のやりとりを繰り返し、操作性や有効性について検証。操作に慣れる効果も期待して富士見にちなんだ動画も配信する計画だ。
町のまちづくり支援金を活用する。このほど開いた説明会では「簡単でこれならできると感じた」「テレビ電話はお年寄りの見守り活動に活用できる」との意見が出た。来年度は対象者、地域を増やして実施する予定で、有志は「より多くの町民に、より広く情報を伝える手段の一つとしてIP告知端末の有用性を検証したい。こんなことに使えたらという話し合いも進めたい」としている。