「Arlo Essential」を使って今時のホームセキュリティを考える

2021年11月15日ITmedia PC USER_


 新型コロナウイルスの感染は小康状態になりつつもいまだ予断を許さない状況が続いている。高齢者から順にワクチン接種は進んできているものの、子どもを含む若年層はまだまだ未接種の割合が高い。時間を短縮しての授業を実施している学校もあり、子どもが家にいる時間も長くなるだろう。

 その一方で、保護者の方は出社しなければいけないケースも散見される。テレワークに対応していない企業だけでなく、マネジメント層が「オフィス出社の方が効率がよい」と判断している企業では、職域接種の施行をきっかけにテレワークからオフィス出社に回帰した例もあるくらいだ。

 そうなると子どもだけを家に置いて外出しなくてはならず、いろいろと不安も多くなる。そんなときに役に立つのが、「Arlo Essential 屋内用カメラ」(VMC2040)だ。税込みの実売価格は1万5000円前後となる。

ドラレコは当たり前だがホームセキュリティカメラはどうだ?

 国土交通省が2019年に実施した車載カメラ、いわゆるドラレコに関するインターネットモニターアンケートでは、自家用車を保有している人のうち45.9%とほぼ半数がドラレコを搭載しているとの回答だった。事故の際の証拠としてだけでなく、あおり運転などのトラブルを未然に防ぎ、身を守るためのツールとしての価値が十分に認知されてきた証拠だと言えるだろう。

 ところが、自宅に防犯カメラを設置している人になると、わずかに8.4%と1割にも満たないという調査結果がある。回答者の多くは屋外に設置する監視カメラを想定したものと思われるが、設置しない理由としては予算の問題、どう設置したら良いか分からない、近所など回りの目が気になる、と続いている。

 確かに、屋外への設置だといろいろと考えなければならないことが多くなる。電源をどう確保するのか、風雨にさらされることを想定した取り付けはどうすればよいのか、また、警備会社が提供する監視カメラだと駆けつけサービスなどのランニングコストもかかってくる。

 だが、防犯カメラは必ずしも屋外に置かなければならないわけではない。ここでは、Arlo Essential 屋内用カメラをベースに「屋内に設置するホームセキュリティカメラ」について考えてみよう。

屋内監視カメラと見守りカメラ

 ホームセキュリティカメラを、屋内に設置することのメリットは多い。

 まずは屋外に比べ、設置が非常に楽と言うことが挙げられる。屋外に設置する場合には風雨や直射日光など、屋内に比べて厳しい環境に24時間さらされることになる。また、連続稼働のための電力の供給、ネットワークへの接続方法なども考えなければならない。さらにはカメラ自身の盗難や破壊に対する対策も必要だ。

 一方、屋内設置の場合はこれらの懸念はほぼ解決する。電力はコンセントから取ればよいし、ネットワークにしても接続は簡単だ。屋内にあるので、通りすがりのいたずらでカメラ自身が盗難/破壊されることもない。

 ホームセキュリティカメラは、防犯以外の目的でも活用できる。例えば、保育園などで保護者が園児たちの様子を見られるように設置しているもの、不在中のペットの様子を見守るためのもの、子どもだけが家にいるときに安全確認用に設置するものなど、いわゆる「見守りカメラ」と呼ばれるものがそれだ。

 さらに、ライフスタイルに合わせてそれらを切り替えて使いたい場合もある。家族全員が不在の日中は「監視カメラ」、子どもが学校から帰ってきたら見守りカメラ、みんなが自宅にいるときはオフ、消灯したら監視カメラ、といった使い方だ。

もし、屋内のホームセキュリティカメラを監視カメラ/見守りカメラの両方として利用するなら、以下のような観点で製品を選ぶとよいだろう。

【共通ポイント】
カメラ/録画解像度は十分か
連続撮影時間は十分か
保存期間を過ぎた映像は自動的に削除され、容量不足とならないような仕組みがあるか
ネットワークインタフェースは必要なものが用意されているか
スマートフォンなどで遠隔からの確認が可能か
夜間撮影に対応しているか
監視カメラ/見守りカメラを簡単に切り替えることができるか

【監視カメラとしてのポイント】
不審な動きなどを検知したらアラートを発報することができるか
カメラ自身が破壊/盗難されても映像が残るか

【見守りカメラとしてのポイント】
スピーカー/マイクを備え、双方向コミュニケーションが可能か
プライバシーを守るため、不用意な撮影を行わない仕組みがあるか
 今回紹介するArlo Essential 屋内用カメラは、これらのポイントを全て満たす屋内ホームセキュリティカメラだ。

Arlo Essential 屋内用カメラの特徴

 Arlo Technologyというメーカー名は、日本ではあまりなじみがないかもしれない。だが、同社はネットワーク機器の大手、ネットギアから独立した監視カメラ専門メーカーであり、全世界で2000万台以上のデバイスを出荷、500万以上の登録済アカウント、70万弱の有料アカウントを持っている。

 Arlo製品の特徴は、同社がカメラの販売だけでなく、クラウドを利用した映像保存、通知、検知サービスを提供していることにある。映像は逐次クラウドに保存されるため、自宅が火災に遭ったり、侵入者によってカメラ本体が破壊されたり、盗難されたりしても映像はしっかり残る。なお、本製品は本体にストレージがないため、これらのサービスを利用しなければ録画ができないという点には注意が必要だ。

 本製品は、同社のラインアップの中では最もベーシックなモデルになる。1080p(フルHD)での録画、電力は5V2AをUSBケーブルで供給する。ネットワークはIEEE 802.11b/g/nで、必要となるアップロード速度は2~4Mbps(解像度による)、IRカットフィルター付き高出力赤外線LEDが搭載されており、夜間の撮影も可能だ。

 家庭での利用を考慮して、レンズ部を物理的に覆う自動プライバシーシールドが搭載されている。自動プライバシーシールドの色は目立つ白であり、撮影できないことが一目で分かるようになっている。

スマホを使ったセットアップは一般的

 本製品のセットアップは、スマートフォンアプリ「Arlo」から行う。デバイスはArloの共通アカウントにひも付けることになるため、まずはArloアカウントを作成する。次にWi-Fiの接続情報をQRコードを通して本製品を認識させればデバイスが登録できる。

 Arloの基本動作は「撮影している/撮影していない」ではなく、「警戒している/警戒していない(待機している)」である点には注意が必要かもしれない。プライバシーシールドが開いているからといって必ずしも撮影(保存)しているわけではなく、通常は映像/音声を取り込んで解析する「警戒モード」となっている。

 警戒モード中に、あらかじめ設定しておいたアクションのトリガーとなる動作や音声を検出したら、そのルールに従って撮影したり、プッシュ通知を行ったりする。もちろん、警戒モード中であればスマートフォンなどでライブ映像を確認することは可能だ。

プランの選定に悩む

 前述したように、内蔵ストレージを持たない本製品は原則として有償のサブスクリプションを契約して利用することになる。

 有償プランは単体で利用可能なライブビデオストリーミング、動作通知に加え、30日間のビデオ履歴保存、インタラクティブな通知、人物/荷物/乗り物および動物を検知といった機能が追加される。

 プランはSecureプラン(カメラ1台/毎月320円、台数無制限/毎月1060円)、Secure Plusプラン(台数無制限/毎月1595円)の2つがあるが、SecureプランとSecure Plusプランの違いは最大解像度が2Kか4Kか、Emergency Response有無の違いのみだ。その他、トリガーに関係なく連続録画を行うオプションもある。

 Arloのモードはデフォルトで用意されている警戒モードと待機モードの2つだけでなく、トリガーとアクションを独自に設定してカスタムモードを追加することも可能だ。さらに、これらのモードは時間帯や、スマートフォンの位置情報で自動的に切り替えられるので、在宅中は待機モード、外出したら警戒モードというような設定もできる。

 低感度の音声のみを検出するカスタムモードを作り、子どもが大声で呼びかけたときだけ通知されるようにしておけば、自宅で留守番をしている子どもの方からコミュニケーションを取ることも容易になる。親の方からはいつでもライブ画像を表示し、マイクを有効にすることで双方向通話が可能だ。

AlexaやIFTTTとの連携でシームレスなホームセキュリティを実現
 Arloには、Amazon AlexaやApple Homekit、Google Assistant、IFTTT、Samsung SmartThingsとの連携機能が提供されている。

 例えばAlexaスキルを導入することで、スマートディスプレイ「Echo Show」や「Fire TV」といったデバイスを介した双方向通話や、IFTTTを使ってArloの動作検知をトリガーに他の機器やスマートフォンと連携したり、あるいはArloを警戒モードに切り替えたり、録画を開始したりすることも可能になる。

 ArloにはArlo Essential 屋内用カメラの他にも、1回の充電で6カ月間利用でき、4K撮影が可能な屋外用「Arlo Ultra 2」や、ベースステーションにUSBドライブを接続することでローカルビデオバックアップが可能な「Arlo Pro 3」、ドアベルの機能を併せ持つ「Arlo Essentialビデオドアベルワイヤフリー」など、用途別に合わせたモデルが用意されている。

 見守りと防犯、両方に役立つArloとスマートホームプラットフォームを連携させて、自分にぴったりのホームセキュリティを構築してみてはいかがだろうか。